出てきたのは、夕飯が少なかったり部屋が狭かったりした。

だけど、彼女がどう利用されたのかだけは出てこなかった。

「悠華、どうする?」

「何が?」

「千鶴ちゃんのこと」

「ここに住まわす」

流石に、千鶴の親にあんなことを言っておいて今更「返します」はないだろう。

千鶴がかわいそうすぎる。

「今までだったら、すぐに手放すのに」

「哉に一発入れたんだ。気になるにきまってる」

「あっ、そっち」

哉は、ん~と唸り声を出しながら「まあ、始めはそれでいっか」と自己解決していた。

「千鶴は、幸せを知ってると思う?」

「ん~、あんな暮らしをしてるからね」

幸せを知らない千鶴に、幸せになってもらいたい。

「俺、寝る」

「そっか。じゃ、おやすみ」

そう言って、哉は部屋から出ていった。

俺は、千鶴が寝ているベットに腰を下ろす。

スースー、と規則正しく寝ている千鶴。

その横顔は、ものすごく綺麗だった。

「おやすみ。千鶴」

俺は、寝ている千鶴のおでこにキスをしてベットに寝転がる。