「あの~、鬼頭様に会うための服を買いに行きたい~」

千尋が扉を少し開けて頭をひょこっと出しながら言う。

「ああ、行くわ」

クソジジイたちは、ササッと部屋に出た。

(本当に、千尋に甘すぎる)

そのせいで、千尋は少しずつ我がままに育っていくというのに。

「ッ・・・」

嘘だ・・・。息ができないッ。

「ふッ、あッ」

どんなに空気を求めても空気が吸えない。

「お嬢様ッ、ゆっくり息を吸ってください」

ああ、恵里だ。

恵里の「吸って、吐いて」に合わせて息を吸う。

「ふぅ~、ありがとう」

「いえッ、またですか?」

「まあ、ね」

「お嬢様、もう少しだけご自分を大切になさってください」

そう言われてもどうすることができないのが現状なんだけどね。