「帰ってきたのかッ!」

ああ、こっそり窓から入ってきたのにバレたら意味無いじゃん。

「早く、未来予知してよッ」

今まではクソジジイだけだったのに、クソババアまで未来予知に頼るのか。

未来予知なんかに頼ったって意味がない。

人は自分から行動しようとしてやっと未来が決まるっていうのに。本当に、このクソたちは何もわかってない。

だから,こいつらのために力なんて使いたくないんだ。

「千尋と鬼頭(きとう)家との縁談はどうなるか予知しろ」

心の中で深いため息をつき、人が何かを望むときのような手の型をし、頭の中で語りかける。

『日向埜千尋(ひがの)と鬼頭家の縁談は?』

頭の中で流れるのは、さっきのドアを当ててきた人が家に来る映像。

「えっと、うまくいくとは思うんですけど」

「なんだ?」

「最後までは見れなかったので断言はできません」

「使えない奴だなッ」

クソジジイは、私の髪の毛を掴んで叫ぶ。

これだけ傷つけられても期待はもうとっくの前に消えてしまった。

だから、クソジジイに何されても何も感じなくなった。