仕事が終わり、誰もいないマンションへ帰る。ササッとシャワーを済ませたら、ビール片手にゲーム開始だ。
オンラインのゲーム仲間は、どういうわけか皆、私と同じ独身女性だ。
そのうちの何人とは、オフラインでも交流がある。
いや、元からの知り合いを、私がゲームの世界へ引きずり込んだのだった。
その一人は私と同じ大学の同窓生で、その頃はあまり話をしなかったのだけれど、社会人になって推しのイベントで偶然に再会し、仲良しになった。今ではお互いにお勧めのウィッグを貸し借りする仲だ。
高校の同級生もいる。親友だったけど、アモーレの取り合いで仲たがいした。あっちの方が勝った……かと思いきや、すぐに別れたので引き分けか。同窓会で再会し、どちらも独身ということで、また交際するようになった。腐れ縁だね。
同じ高校の同級生だけど、昔は男の子だった子もいる。昔からちょっと違う雰囲気があったけど、大人になって本当に自分に覚醒したそうで、女に生まれ変わったそうだ。
その他にもゲームのプレイヤーはいるけど、全員を紹介するのは面倒だから省略。戦いは佳境に入ったから、そんな暇はない。
私たちは、一致協力して敵と戦うのだけれど、個人個人に秘密の勝利条件があって、そのクリアを目指している。敵である魔王の軍勢が、私たちの攻撃で崩れた。前進だ! おおっ、とっとっと、ここで緊急の臨時イベント発生。魔王に囚われていた人質の王子様を解放したら、イケメン王子は私たちの一人を結婚したいと言い出したぞ。これは……チャンスだ!
実は、私のキャラクターの勝利条件に、イケメン王子との結婚がある。この好機を逃すわけにいかない。
私は早速、王子にアプローチした。そこに邪魔が入る。なんと、私のオフライン知り合いが、我も我もと私の王子に殺到してきやがった! どうやら、こいつらも秘密の勝利条件にイケメン王子との結婚を設定したようなのだ。
許せん。
私は奴らとの戦いに臨んだ。審判となった私のイケメン王子が戦いのルールを説明する。
今回は馬車競技だ。様々な障害物の置かれたコースを、私たち四人が各自、馬車を操ってレースするのである。走りながら、お互いを攻撃しても良いそうだ。何やら、古代ローマを舞台とした小説&映画『ベン・ハー』みたいで、おらワクワクしてきたぞ!
そんなわけで、今から仁義なき戦いが始める。
「女友達、最高!大人のガールズライフ」というテーマとは、何かちょっと……いや、かなり違うけれども、こういうライフもあるってことで。
いかん、奴らの罠にはまった。レース系のゲームが得意な私を警戒し、他の三人が一斉に攻撃してきたのだ。ライフが削られた。
やれやれ、女同士の友情なんて、当てにならないね。
まあ、他の三人は同盟を組んでいるわけだから、友情があるのだろうけど、でも、私を倒したら、次は三人で仲間割れの戦いになるだけだ。ええい、負けていられっか! 私は激減したライフを回復ポーションとボタンの連打で回復させ、レース復帰した。
このレースに勝つのだ。そして私は、レースクイーンになるのだ!
五本目の500mlビール缶で酔っ払ってきた私は、ハイレグを着た自分の姿を想像しつつ、先行する三人の馬車を追いかけて走り出した。
オンラインのゲーム仲間は、どういうわけか皆、私と同じ独身女性だ。
そのうちの何人とは、オフラインでも交流がある。
いや、元からの知り合いを、私がゲームの世界へ引きずり込んだのだった。
その一人は私と同じ大学の同窓生で、その頃はあまり話をしなかったのだけれど、社会人になって推しのイベントで偶然に再会し、仲良しになった。今ではお互いにお勧めのウィッグを貸し借りする仲だ。
高校の同級生もいる。親友だったけど、アモーレの取り合いで仲たがいした。あっちの方が勝った……かと思いきや、すぐに別れたので引き分けか。同窓会で再会し、どちらも独身ということで、また交際するようになった。腐れ縁だね。
同じ高校の同級生だけど、昔は男の子だった子もいる。昔からちょっと違う雰囲気があったけど、大人になって本当に自分に覚醒したそうで、女に生まれ変わったそうだ。
その他にもゲームのプレイヤーはいるけど、全員を紹介するのは面倒だから省略。戦いは佳境に入ったから、そんな暇はない。
私たちは、一致協力して敵と戦うのだけれど、個人個人に秘密の勝利条件があって、そのクリアを目指している。敵である魔王の軍勢が、私たちの攻撃で崩れた。前進だ! おおっ、とっとっと、ここで緊急の臨時イベント発生。魔王に囚われていた人質の王子様を解放したら、イケメン王子は私たちの一人を結婚したいと言い出したぞ。これは……チャンスだ!
実は、私のキャラクターの勝利条件に、イケメン王子との結婚がある。この好機を逃すわけにいかない。
私は早速、王子にアプローチした。そこに邪魔が入る。なんと、私のオフライン知り合いが、我も我もと私の王子に殺到してきやがった! どうやら、こいつらも秘密の勝利条件にイケメン王子との結婚を設定したようなのだ。
許せん。
私は奴らとの戦いに臨んだ。審判となった私のイケメン王子が戦いのルールを説明する。
今回は馬車競技だ。様々な障害物の置かれたコースを、私たち四人が各自、馬車を操ってレースするのである。走りながら、お互いを攻撃しても良いそうだ。何やら、古代ローマを舞台とした小説&映画『ベン・ハー』みたいで、おらワクワクしてきたぞ!
そんなわけで、今から仁義なき戦いが始める。
「女友達、最高!大人のガールズライフ」というテーマとは、何かちょっと……いや、かなり違うけれども、こういうライフもあるってことで。
いかん、奴らの罠にはまった。レース系のゲームが得意な私を警戒し、他の三人が一斉に攻撃してきたのだ。ライフが削られた。
やれやれ、女同士の友情なんて、当てにならないね。
まあ、他の三人は同盟を組んでいるわけだから、友情があるのだろうけど、でも、私を倒したら、次は三人で仲間割れの戦いになるだけだ。ええい、負けていられっか! 私は激減したライフを回復ポーションとボタンの連打で回復させ、レース復帰した。
このレースに勝つのだ。そして私は、レースクイーンになるのだ!
五本目の500mlビール缶で酔っ払ってきた私は、ハイレグを着た自分の姿を想像しつつ、先行する三人の馬車を追いかけて走り出した。