月曜日になった今日。
結斗は教室に入るとつい教室内を見渡した。
(……やっぱ、いないや)
今日、斗葵が学校に来ていないことは分かってた。
週始まりに教えてくれたから。
でも、癖でついいつもみたいに探してしまった自分に苦笑する。
結斗は席に座ると、ボーッと空いた席を見つめた。
暫くそうしていると、聞き馴染みのない声が耳に届いた。
「落ち込んだ犬みたいだな」
「え?」
突然、頭上からふってきた言葉に驚いて顔を上げると、そこにはクラスメイトの1人が立っていた。
「えっと……」
どう反応したらいいのか分からなくて結斗が困惑していると、彼は隣の席に腰を下ろした。
結斗は彼が座った途端、不安に駆られた。
男がクラスメイトなことは分かっていた。
名簿番号が1番ということもあって、名前をよく呼ばれているので苗字は知っていた。
(安藤くん……で合ってるよね?)
実際に呼んだことはないので本当にこの苗字で合ってるのか心配になる。
だからと言って、今更名前を確認するのも失礼な気がして、聞くに聞けなくて不安になる。
結斗は人の名前を覚えるのが苦手だ。
顔と名前を一致させるのも時間がかかる。
それは関わりが薄い相手ほど、顕著になってしまう。
人に興味があまりないのか、名前を覚えようとしていないのか、記憶力が低いのか……。
数回話したくらいでは、名前を覚えようという気力すら起きない。
だから、まだ入学して数カ月。
初めて話す彼のことを結斗ははっきりと認識していなかった。
人見知りを発揮して硬直していると、彼は人当たりのいい笑みを浮かべた。
「俺、安藤光希。よろしく」
光希と自分から自己紹介をしてくれた彼によって、結斗の強張っていた表情が少しだけ和らぐ。
でも、まだ緊張を解くことができなくてつい敬語になってしまう。
「……俺は清水結斗です。よろしくお願い致します」
軽く会釈をすると光希は不思議そうに首を傾げた。
「何で敬語なの?タメ口でいいのに」
「……緊張して」
素直に気持ちを伝えると光希は「ああ」と納得したように頷いた。
「分かる。初対面相手だと特に緊張するよな」
見るからにコミュニケーション能力が高そうな光希。
そんな光希があまりにも似合わないことを言うから、結斗は「えっ?」と短い声を漏らした。
「意外?俺、なんか緊張しなさそうって言われるんだよなー」
「そう見えるけど、緊張するの?」
「そりゃーするよ」
光希は可笑しそうに笑うと、何かに気づいて片手を上げた。
結斗は教室に入るとつい教室内を見渡した。
(……やっぱ、いないや)
今日、斗葵が学校に来ていないことは分かってた。
週始まりに教えてくれたから。
でも、癖でついいつもみたいに探してしまった自分に苦笑する。
結斗は席に座ると、ボーッと空いた席を見つめた。
暫くそうしていると、聞き馴染みのない声が耳に届いた。
「落ち込んだ犬みたいだな」
「え?」
突然、頭上からふってきた言葉に驚いて顔を上げると、そこにはクラスメイトの1人が立っていた。
「えっと……」
どう反応したらいいのか分からなくて結斗が困惑していると、彼は隣の席に腰を下ろした。
結斗は彼が座った途端、不安に駆られた。
男がクラスメイトなことは分かっていた。
名簿番号が1番ということもあって、名前をよく呼ばれているので苗字は知っていた。
(安藤くん……で合ってるよね?)
実際に呼んだことはないので本当にこの苗字で合ってるのか心配になる。
だからと言って、今更名前を確認するのも失礼な気がして、聞くに聞けなくて不安になる。
結斗は人の名前を覚えるのが苦手だ。
顔と名前を一致させるのも時間がかかる。
それは関わりが薄い相手ほど、顕著になってしまう。
人に興味があまりないのか、名前を覚えようとしていないのか、記憶力が低いのか……。
数回話したくらいでは、名前を覚えようという気力すら起きない。
だから、まだ入学して数カ月。
初めて話す彼のことを結斗ははっきりと認識していなかった。
人見知りを発揮して硬直していると、彼は人当たりのいい笑みを浮かべた。
「俺、安藤光希。よろしく」
光希と自分から自己紹介をしてくれた彼によって、結斗の強張っていた表情が少しだけ和らぐ。
でも、まだ緊張を解くことができなくてつい敬語になってしまう。
「……俺は清水結斗です。よろしくお願い致します」
軽く会釈をすると光希は不思議そうに首を傾げた。
「何で敬語なの?タメ口でいいのに」
「……緊張して」
素直に気持ちを伝えると光希は「ああ」と納得したように頷いた。
「分かる。初対面相手だと特に緊張するよな」
見るからにコミュニケーション能力が高そうな光希。
そんな光希があまりにも似合わないことを言うから、結斗は「えっ?」と短い声を漏らした。
「意外?俺、なんか緊張しなさそうって言われるんだよなー」
「そう見えるけど、緊張するの?」
「そりゃーするよ」
光希は可笑しそうに笑うと、何かに気づいて片手を上げた。