入学式の次の日からも結斗は斗葵と学校生活を共にするようになった。
 名簿が前後ということもあって、放課中は斗葵と会話することが多いし、授業でもペアやグループを組む時は同じチームになることがほとんどだった。
 だから、昼放課も斗葵と一緒に過ごしている。
 場所は教室だったら、学食だったりとまばらである。
 何かと関わる機会が多いからか、入学から数ヶ月経った今ではお互い一緒に過ごすことが当たり前になっていた。
 斗葵の部活がない日は一緒に帰っており、寄り道したり、お互いの家に遊びに行くこともあった。
 念願のイヴちゃんとも会うことができた日には、結斗の写真フォルダーは見事に彼女で埋め尽くされていた。
 結斗があまりにも興奮していたせいか、時折斗葵の方から写真を送ってくれるようになった。
 もちろん、結斗の携帯にも"イヴちゃん"フォルダーが誕生した。

 結斗は今でも斗葵と一緒にいることを不思議に思いながら1日1日を過ごしていた。
 だって、斗葵は結斗と違って人気者だから。
 斗葵はよく声を掛けられる。
 コミュニケーション能力が高いだけではなく、人柄も良い斗葵は1週間くらいでクラスメイト全員と友達になっていたらしい。
 結斗も斗葵の紹介のお陰で、下校を共にする友達ができたほどだ。

 だから、結斗は人気者の斗葵が、こんな大人しい自分と行動を共にしてくれることに疑問を抱かずにいられなかった。
 他の友達よりも結斗を優先して動いてくれてる気もする。
 だから、入学式ぶりに斗葵と一緒に帰れることになった日に聞いたのだ。

 『斗葵は何で俺と一緒にいてくれるの?』

 『えっ?』

 そんなことを聞かれると思ってなかったのか、斗葵はポカンと口を開いていた。
 でも、すぐに質問の答えを教えてくれた。

 『そりゃー、結斗といるのが1番楽しいし居心地が良いからだけど。……あっ、ずっといるの迷惑だった?』

 不安そうに聞く斗葵に結斗は勢いよく首を振った。

 『ううん!斗葵と一緒にいれるの嬉しい』

 『そう。なら良かった』

 結斗は斗葵の嬉しそうな表情を見るとぎゅっと胸をおさえた。
 斗葵の言葉が嬉しかった。
 
 (1番……)

 そんな特別な位置に結斗を置いてくれてる。
 それを知った結斗が斗葵に更に心を許すようになるのは時間が掛からなかった。