恋人なのはこの場だけ

「便利だけど、色々機能あって分からなくなっちゃうよね」

 変な勘違いなどしないから大丈夫だよ。
 暗にそう伝えるように笑う。だが隼人君の様子は想像していたものとは違った。スマホを取り出しながらも、どこか答えを探すように空を見る。

「間違えたとかじゃないんだ。勝手に使っててごめん」
「あ、もしかしてあのパフェ写真にも何かご利益があったり?」
「ご利益というか、願掛けというか……」
「願掛け?」
「あー、もう! なんで田畑は人が告白する直前に言っちゃうかな……」

 濡れた髪を掻き、その場にしゃがみ込む。
 右手で隠した顔はほんのりと赤らんでいた。

 あまり踏み込んでほしくないところに触れてしまったのだろう。

「えっと、僕、誰かに言ったりしないから大丈夫だよ。応援してるね」

 僕が移りこんでしまった写真にどれほどご利益があるかは分からないけれど。
 ズキリと痛む胸も知らないフリをして、友達の仮面を被る。頑張ってね、と笑えば、隼人君は拗ねたような声を出す。

「告白相手は虎太郎なんだけど?」
「え、僕?」