結局、色違いのネックレスを互いのプレゼントとして購入した。寮に帰ってきて、空のベッドに二人で腰掛けた。

「空くん、俺につけさせてください。」
「え。いや、自分でつけられるけど。」
「そんなん分かってますよ。でも、俺がつけたい。」
「ん。じゃあ、お願い。」
「・・・今日、空くん素直ですね。」
「・・・お前、ちょいちょい失礼だよな。先輩だぞ。」
「ふふ。ほら、向こう向いてください。」

 空は悪態をつきながらも素直に背中を向けた。普通のアクセサリーと違ってスポーツ用のチタンネックレスだから、着脱が難しいわけではない。空が言うように一人で簡単につけられる。それでも、恋人に贈ったネックレスをつけるというのは、特別な関係だと心を許してくれているようで、翔太の心は満たされていた。

「やっぱりこの色似合いますね。空くんの空色。」
「ははっ。お前、選ぶ理由がシンプルすぎだろ。」
「で、でも!ほんまに、この色が一番似合うと思ったんやもん。」
「分かってるよ。ありがとう。ほら、お前もつけてやるよ。」
「はい!」

 今度は翔太が空に背中を向けた。空が翔太に選んでくれた色は赤。空に輝く太陽の色。空の手によって、翔太のネックレスが首につけられる。アクセサリーとは違うから、少し重みがある。色違いのネックレスが、それぞれの首につけられた。

「・・・なんか・・・はずかし。」
「空くんにも恥ずかしいとかいう感情あるんですね。」
「だから。お前は俺をなんだと思ってんの?」
「空くんは空くんです。空くんのいろんな気持ち知れて嬉しいです。」
「ばーか。」
「ちょと早いけど、お誕生日おめでとうございます。」
「うん。翔太も。お誕生日おめでとう。」
「ありがとうございます。」

 激闘の春高予選前。束の間の休息は、二人にとって充実した穏やかな時間になった。