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「あいつら、宗教団体みたいだな」
小屋へ向かう帰り道、三人だけになったのを見計らって京平はようやく本心を呟いた。
行きでは真上にあった月も、西の空に沈みかけており、かなりの時間が経ったようだ。
太市は欠伸を噛み殺しながら、先ほどあったことを反芻する。
「それに憲明君たち、相当おしゃべりだね。俺たち、発言には気をつけるべき?」
「俺たちじゃなくて、太市と歌織が気をつけるべき」
「えぇ〜?京平が注意深いだけじゃないの?」
歌織も先ほどのやりとりを思い起こし、自分の耳鳴りの事や伊代の事を隠した京平の判断の真相を知りたくなった。
「あれは、私と伊代を守ろうとしてくれたってこと?」
「おいおい、それじゃ能力を知られちゃった俺のことは守ってくれないの?!」
「知らねぇよ、バーカ」
と、京平は口角を上げる。
「私を守ろうとしてくれてたなら・・・・ありがとう、京平」
「歌織は真っ正直にペラペラ話しちまうからな、危なっかしくて見てらんなかったんだよ」
「・・・・ちょっと。こっちは心から感謝してるのに、何よその言い方!失礼だよ」
歌織は口を尖らせてそっぽを向く。
その反応を見て京平は面白がり、太市も笑って二人の友の肩を叩いた。
小屋に帰着し、他の友の姿を探した。
綺那李は言われた通り先に就寝していた。
深い眠りに就いているようで三人の帰還に気づく様子はない。
10歳の少女らしくあどけない寝顔を見せている。
しかし伊代の姿はなかった。床で就寝しておらず、帰って来た形跡もない。
庭に出たり、小屋の周辺を見回してみるが、人気も足音も一切ない。
「伊代を最後に見たのは、巫女の館って言ってたよな?」
「うん。私が蔵に呼び出される前で、いつも通り巫女さんの修行のお世話をしてたと思う」
探しに出ようとしたが、夜間はムラ中で厳戒態勢が敷かれており、奴婢でなくとも外出することが禁止されている。
先ほどは監視の目を掻い潜って集まりに参加できたが、人を探すとなると声も出さずに行動することは難しい。
兵士に見つからないよう近場を探す事くらいしか出来ず、そうしているうちに空が明るみ夜が明けてしまった。
「もしかしたら、巫女の館で何かあったのかも。とりあえずいつも通り、巫女の館に向かってみる」
「わかった。俺たちも行った方がいいかな?」
「いや、関係の無い太市と俺が行って見つかったら厄介だし、巫女の館を熟知している歌織と綺那李に任せよう。俺たちは出来る範囲で他の場所を探すんだ」
三人は作戦に合意し、綺那李にも事情を説明して伊代を探しに出た。
最後に姿を見かけた巫女の館に、伊代がいる事を信じていた。それより他に思い当たる場所がなかった。
何か危険なことに巻き込まれていないか、そういった悪い方向に考えるにつれ、歌織の歩くスピードは速くなった。
「歌織様、落ち着いてください!きっと伊代様は大丈夫ですから、もう少しゆっくり・・・・」
綺那李は懸命に歌織を追いかけるが、歌織の耳には届いていないらしい。
気持ちだけが焦り、息も絶え絶えに巫女の館に到着した。
着いてすぐ、伊代の居場所が判明した。
しかしそこは思いも寄らない場所であり、伊代と再会することは困難であることを思い知らされた。

