いつの時代も必ず君に逢いにいく 第一章 YAYOI〜日出づる國の女王〜




「あなた方の事、お話ししてくださりとても嬉しいです。では欲を出してもう一つ質問したい。川水流 太市さんはとても珍しい能力をお持ちだそうですね?この時代の人間か、それとも現代からタイムスリップしてきた人間か、見分ける事が出来るとか」
「ああ、はい。そうですけど・・・・憲明君から聞いたんですか?」
「その通りです。私が寺井 憲明君に無理を言って聞き出しました。耳を疑いましたよ、そのようなチート的能力を持っている人に初めてお会いしたのでね。今私のことも、現代から来た人間だと "視えて” いるわけですね?」

太市は頷き、能力のことについて一通り説明した。
内容は憲明に説明したものと全く同じだった。
白洲は整合性を確かめるかのように大きく頷き、特殊能力の披露にとても喜んだ。

「とても興味深い能力ですね。この時代にタイムスリップをしてから発現した能力・・・・我々に大いに役立つ事でしょう。ちなみに、他のお二人も何か特殊な能力をお持ちでしょうか?」
「持っていません。太市だけです」

京平は即答した。
歌織も同じ答えを返そうとしたが、一瞬脳裏にあの耳鳴りの事が思い浮かんだ。
まだその正体や原因についてはわかっていない事が多いが、特殊な能力の一つである可能性がある。
話すべきか迷い、京平の方をチラリと窺うと、先ほどと同じように歌織をキツく睨んで来た。
余計な事を話すべきでは無い、そう言っているように歌織は捉えた。

「・・・・私も、特殊能力は持っていません」

歌織は平静を装い、そう答えた。
歌織の表情を窺うも、白洲はこれ以上特に追求してこなかった。

「よろしい。質問してばかりで申し訳ない。逆にあなた方からお聞きになりたい事はありますか?情報はお互い等価交換をしてこそ、信頼は構築されていくものです」

憲明からも同じことを聞いたな、と太市は思いつつ、機会に乗じて挙手をした。

「皆さんのことをもっと知りたいです。試練に向けて今取り組んでいる事や、この集まりは何人くらいいるのか、今後何をしようと考えているのか、俺たちが協力できることはあるのか」
「まるで就職面接のような質問ですね。つまらないですが、重要な質問ではあります」

白洲の感想を聞き、太市は確かに、と思った。
四人の中で唯一就職活動を経験している太市だが、注いだ年数や努力は並のものではなく、良い内定先を幾つも勝ち取った、謂わば就活の猛者である。

「我々はまだ、大した情報や成果を上げておらず、糸口も掴めていない状況です。しかし絶望とは程遠い。心配することはありません。我々は自分たちの事を "オラクル” と呼んでいます。この意味をご存知でしょうか?」

"Oracle” とは英語で、神託または神託者を意味する。
ラテン語の "ōrāculum” に由来し、道具を使って神の啓示を聞く太占等の行為や、シャーマンが憑依状態となり神の言葉を語る事などが神託に当たる。
古代日本や中国、西洋諸国でも見られるものだ。

「私たちこそ、真の神託者です。卑弥呼とか言うシャーマンの女の、動物の骨を使った疑わしい占いとは比べものになりません。私たちはこの目で神の使いに会い、直接啓示を受けている。この辺境の時代に飛ばされ、この日本を守る救世主として選ばれし人間なのです。その中でも川水流 太市さんの類稀なる能力は、神から授かった能力と言っても過言ではありません。ぜひ、その力を我々にお役立てください!必ず我々は試練を乗り越えることができるでしょう!」