いつの時代も必ず君に逢いにいく 第一章 YAYOI〜日出づる國の女王〜




「やはり、そうでしたか・・・・僕は、奈良の出身です」
「奈良!ということはつまり、弥生時代の人間ではなくて、俺たちと同じ時代からタイムスリップしてきた、ということか?」
「大まかに言えば、そういうことになるでしょう」

太市は興奮して、ノリアキを抱擁する。
太市の推理が的中し、ようやく暗雲が立ち込めていた状態に光が差し込んだ心地だった。
相手は驚きすぐさま飛び退いて、嫌悪を込めた眼差しで太市を睨む。

「ごめんごめん!嬉しくって、つい」
「ついって、今日話したばかりの人間に抱きつくなんて、不愉快でしかありません」
「まあまあ、許してよ。ていうか、もっと話を詳しく聞きたい!俺たちはさ、突然異空間見たいなところに飛ばされて、まずお城が見えたんだよ。そこで侍のおじさんに案内されて、タイムスリップして来い!って急に言われてからこの弥生時代に来たんだけど」
「・・・・僕も大概ね同じですね」
「やっぱり!ノリアキ君は一人で来たの?」
「いえ、大学の同期と二人で」
「いつも一緒に行動してる、七三分けの男の子?」
「そうです・・・・よく見てますね、僕のこと」
と、ノリアキは再び疑わしい目つきで太市を見る。

「今度は僕からも質問させてください。なぜ僕をここに呼び出したのですか?」
「それは、俺たちの仲間がいるんじゃないかって確認したくて」
「どうして僕だと?あんなにたくさんの奴婢がいて、なぜ僕だけを指名したのですか」
「えっと、それは・・・・」

太市は目を彷徨わせ、京平を窺う。
太市だけが見えている青白い光によってノリアキを選び出したのだが、それを口外してよいか悩んでいるのだ。
京平も慎重になるべきだ、と目線で太市に訴える。

「あれれ?NG無し、なんですよね?」
と、ノリアキは挑戦的な口調で告げる。
太市は降参し、ノリアキに自身の特殊な能力について話した。
話に耳を傾け半信半疑のノリアキから、今も青白い光は放たれている。

「ちなみに、ノリアキ君は自分の体から光が出ている事はわかっているの?」
「そんなの、見えるわけないでしょう。何を言っているのか意味不明です」
「そうだよね・・・・ちなみに、君の友達の子からも同じ光が視える。他にも、白い口髭のおじいさんとか、川の大石の上でよく休んでるおじさんとか、その人達からも視える。彼らの共通点は、てっきり不可思議な現象だから幽霊なんじゃないかと最初は思ったんだけど・・・・」
「彼らの共通点は・・・・僕たちと同じく、現代からやってきた人間、ということです」

太市と京平は目を見開く。
ノリアキは最初は疑っていた太市の能力を、話を聞いていくうちにどうやら本物らしいと信じ始めたようだ。

「太市さんが今並べた人たちは、一度話したことがあります。彼らもあの謎の侍によって現代から突然連れて来られた、と言っていました」
「じゃあ太市のその能力は、幽霊が見えるってことじゃなくて、俺たちと同じタイムスリッパーを判別できるということなんだ。何だよ、めっちゃ便利な特殊能力だな」
「ちなみに、彼らが元いた時代は三者三様です。白い口髭の男性は、昭和のバブル崩壊前の時代の方だと聞きました」
「へぇ、そうなんだ。ちなみにノリアキ君は?俺たちは令和四年から来たんだけど」
「・・・・レイワ?それは、未来の元号、なのですか?!」

聞き慣れない時代にノリアキは衝撃を受けたようで、一層食い入るように太市と京平の話を聞きたがった。
今まで警戒して距離を一歩程度取っていたにも関わらず、相手の突然の接近に二人は驚愕する。

「ノリアキ君はもしや、令和の人間ではない?」
「僕は、平成十年から来ました・・・・やはり世界は滅亡しなかったんですね!」
「め、滅亡・・・・?」
「平成十年って、ノストラダムスの予言の時だろ。そんなことで騒いでる時代、たしかにあったな」
と京平は冷静に言う。
その表情が嘲笑しているようにもノリアキには見えたらしい。
「い、いいじゃないですか!それよりも、君たちが未来人ってことは、僕は大先輩ってことになりますから。社会人だからって敬語を使っていましたけれど、それは必要ないですよね!」
「別に敬語とかどうでもいいけど・・・・そもそも令和ってそこまで遠い未来じゃないし、この程度で大先輩だったら弥生時代の人たちはどうするんだよ・・・・」

京平の冷静なツッコミは、ノリアキによって自然に流される。