いつの時代も必ず君に逢いにいく 第一章 YAYOI〜日出づる國の女王〜




罪滅ぼしなのか、難斗米と都心牛利は自分たちの仕事部屋を好きに使って良いと、京平と太市に明け渡した。
二人は日中の奴隷仕事の合間を見て、この部屋に逃げ込み、情報共有や作戦を立てる為に利用した。
見張の目が無いため、二人は沈黙の掟に警戒する事なく思うままに話せた。

そしてある時太市は、一人の男を部屋に連れてきた。
男も同じく奴婢として、強制的に河川普請工事をさせられている者である。
年齢は太市や京平より二、三歳下に見える。
特に興味深いのは、弥生時代ではまず見かけない、ツーブロックの刈り上げた頭髪だった。

「ここには見張の兵士はいないから、自由に話していいよ」

太市は不審に思われないよう、明るく振る舞う。
外交大使から呼び出されていると嘘をつき、太市はわざわざその男を部屋に連れてきたのだ。何か理由があるのだろう、と京平はその男を上から下に凝視する。

「俺は太市。こっちは京平。君の名前を聞いてもいい?」
「・・・・ノリアキです」
「ノリアキ君、か。邪馬台国では珍しい名前なんじゃない?」
「僕の生まれ育った街では、大して珍しくもなかったですよ」

ノリアキという男は、強気な口調で刺々しい物言いをする。
突然知らない場所に連れてこられ、上の人の命令だと嘘を吐かれ、警戒しているようだった。
その疑うような目つきに気づいた太市は、いち早く相手を落ち着かせることを重点に切り替える。

「ごめんごめん、急に個室に連れてこられたんだから、怪しいと思って当然だよね。でも俺たちはノリアキ君に何かをしようとしているわけじゃ無いんだ。ただ、知りたいことがあって、ノリアキ君なら知っているんじゃないかと思ってるんだ」
「知りたいこと、ですか。それなら質問されてばかりではなく、僕からも質問を返させていただきたい。情報の等価交換にならなければ、信用することは出来ませんから」

太市は頷く。
京平も口を開き、ノリアキの提案に賛同する。ただし、相手を試すような言葉を選んで。

「もちろん、俺たちも答えられる事なら何でも答えるよ。NG無しでね」
「エヌ、ジー・・・・」

その言葉を聞き、ノリアキの眉はぴくりと動く。
京平は確信したように口角をあげ、質問を続ける。

「さっきの話に戻るけど、ノリアキ君の生まれ育った街とは、どういうところなんだ?」
「・・・・それは」
「おっと、一方的に尋ねるのは等価交換にならないし、勇気がいるよね。先に俺たちの故郷を教えよう。・・・・俺たちは、"東京” というところから来たんだ」

ノリアキは二人を大きく見開いた。
驚きと、やはりという確信も含まれている表情だ。