いつの時代も必ず君に逢いにいく 第一章 YAYOI〜日出づる國の女王〜




「・・・・幽霊、思ったよりも多くないか?」

太市と京平はその日、大勢の奴婢達と共に労働力として駆り出された。
ミヤコ近くの大きな川の普請工事であり、先日見舞われた大雨によって崩れかかっていた堤防や、田畑へ水路を引く等、大掛かりなものであった。

集められたのは主に大人の館やミヤコの主要部に仕える奴婢で、勿論仕事ではない為賃金は出ない。
危険な作業もある中で、ここまでこき使われるのかと驚くが、太市はそれ以上に驚くべきことがあった。

今朝に見たあの青白い光を放つ者が、奴婢の中にいた。
それも一人ではない、見渡せる範囲内に三〜四人はいた。
再び目を擦り、頬をつねってみたが、やはり光は消えない。
彼らは何者なのか、やはり幽霊なのだろうか。太市は一人で心臓を震え上がらせていた。

「・・・・なぁ、京平」
「ん?どした」
「京平は・・・・霊感は無い?幽霊とか、見えないか?」
「霊感は無いけど。・・・・もしかして、また幽霊が見えるのか?」
「うん・・・・しかも、複数。俺、怖くて直視出来ないよ」
「落ち着けよ。見え始めたのは今日からか?どんな幽霊が見えてる?」
「今朝と、今見えてるのは、なんか、背後に青白い光がゆらゆらしてる人間。この人混みの中に何人かいる・・・・」

太市の言う幽霊の特徴を京平も探したが、やはり京平の目にはそのような存在は映らない。
しかし幽霊が見えないのではなく、あくまでも青白い光が目に見えていないだけであり、光を放つ人物自体は普通の人間として認識していた。

「太市には幽霊が見えているというより、一部の人が光を発しているのがわかるっていうことか」
「どうしよ・・・・俺、疲れてるのかもしれない。この世界に来て、ストレスが溜まっているのかも。幻覚なのかな・・・・」
「さあな、様子を見よう。ただ・・・・また何か見えたら、俺にも教えてくれ」

京平は揶揄うように言ったが、しかし真剣に受け止めていた。
この世界に来て、非現実的な現象があまりにも多く起こっている。
笑って見逃すようなことが、もしかするとこの世界を紐解く鍵になるかもしれない。