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———この感覚、懐かしい。
伊代は眠りの中で、ひたすらにあの場所を探していた。
夢の中でまた、懐かしいあの場所と、あの人を見つけ出すことを願っていた。
どうやって特定の夢を再度見れるのかはわからない。
頭の中で繰り返しその夢のことを考え続けていれば、また見ることは出来るのだろうか。
処刑騒動以来、夢の一つも見ることは出来ておらず、疲労やこの時代に慣れた安心感から毎晩ぐっすりと眠れている。
しかしまた慣れない地にやって来て、硬い麻の敷物に寝そべって、眠りが浅く夢の中に意識を置いているような感覚になる。
あの夢をまた見ることが出来るのでは?そうすれば邪馬台国のこと、金印や古代中国のことを調べて、今後邪馬台国に何が起こるのか予測ができる。
知りたい、これからの私たちに降りかかることを。
あの場所は。史書は。お父さんはどこに———
「とっとと起きろ!もう陽は昇っているぞ!」
あともう少し、というところで低い怒声に叩き起こされる。
何が起きたのか訳もわからず飛び起きると、見知らぬ男二人が寝所にいる。
ドカドカと小屋の中を動き回り、寝ている全員を乱暴に起こしていく。
覚めたばかりの目を擦りよくよく見てみると、どちらも前日の詮議で顔を見たことがあった。
ムラ長の賀舎の後ろに控えていた者達である。
「起きるのが遅い!すでに支度を終えているはずの時刻だぞ。皆を待たせるでない!」
どうやら彼らが、これから始まる "奉公” の場所へ案内をするらしい。
うまく働かない頭のまま敷物を片付け、渡された衣装に急いで着替える。
衣装は "貫頭衣” と呼ばれるもので、麻布を縫い合わせて胸の前で留め、腰紐を巻くだけの簡素な着物である。
奴国にいた時は赤や黄色に染められた、上下に分かれた着心地のよい衣装を身に纏っていたが、渡されたものは染められてすらいない、最下層の民が着る衣のようだった。
「なんか・・・・私たち、奴隷にでもされるのかな」
「ちょっと、歌織!声が大きいって・・・・」
男にじろりと睨まれるも、目を合わせないようにそそくさと準備を終え、小屋の外に出る。
寝坊したのは事実のようで、すでに大通りにはたくさんの人々が行き来して活気づいていた。
小屋の前で整列させられると、男と女に分かれてそれぞれの配属先に案内された。
太市と京平は賑わうムラの中心地へ、歌織と伊代、綺那李はムラを抜けさらに山を登っていく。


