タイムトリッパーズ〜いつの時代も必ず君に逢いにいく〜 第一章 YAYOI〜日出づる國の女王〜





主祭殿の大広間には、政を司る大人達が左右に列を成していた。
正面の王座のすぐ横に、葉李菜から呼び出しを受けた歌織、伊代、京平、太市が並んで座るよう促される。

少しして、二人の男がやってきて王座の対局に腰を下ろした。
頭を下げて、四人に対し丁重な挨拶を述べた男達は好印象に思えた。
そして臣下の深い礼の中、女王・葉李菜が現れ王座に着いた。

「私は、邪馬台国の外交大使、つまり他国との親睦と調和の務めを任されている、難斗米と申します」
「そして私は、外交副使の都心牛利にございます」

難斗米と名乗った男は、奴国を訪れた経緯を葉李菜に説き始めた。
彼らは邪馬台国の女王の遣いであり、女王の客人を邪馬台国に連れ出して丁重にもてなすよう命令を受けたという。

邪馬台国の女王については四人とも、歴史の教科書や資料で触れた事しかなく、この時代に来て知り合った事は勿論無い。
突然の訪問要請に四人は戸惑い、疑いを隠せない。
女王が命令した理由について難斗米に問いかけるが、彼も詳しい経緯を説明された訳ではなく、その答えは曖昧なものである。

さらに、女王は “客人” と表現しただけで人物の名前等詳細な情報を伝えておらず、本当にこの四人の事を指しているのかは不明だ。
しかし難斗米と都心牛利は、先日の野分の噂を耳にしていた。独裁王の混乱の中で野分の襲来を言い当て民を救い、無実の囚人達を救った伊代と歌織の英雄譚を聞きつけ、彼らが女王が求める人々だと直感したのだという。

「つまり、我らの勘を信じてあなた方を邪馬台国へお迎えしたいのです」
そう難斗米は言うものの、自分の勘を深く信じているようで言葉に迷いはない。

「思い当たる節が無いのであれば、無理に応える必要はないぞ」
と、葉李菜が横から助け舟を出す。

「ひとつ聞きたい事があります」
と、京平が話し出す。
「この世界と、俺たちがここにいる理由について、あなた方や女王様は何か知っていますか?」

京平が尋ねる事は勿論、弥生時代へタイムスリップした経緯を知っている人物であるかという探りである。接点も無い人物から指名を受ける事は極めて不審である。考えられる可能性は、始まりの城で出会った侍のように、タイムスリップを仕組んだ側の人間であるのではないかという事だ。

しかし難斗米との反応は思ったものではなく、都心牛利も首を傾げている。

「貴方様達がこちらにいらっしゃる理由については、我々には知る術もございません。しかしどのような理由であったとしても、我らの女王が “誰か” を望まれる事は未だかつて無かった事なのでございます。貴方様達が望まれている事を、女王が存じておられるのか、おられぬのか・・・・」

「つまり、会って訊け、ということか」
と京平は突き放すような目を向ける。