約束の日曜日。その日も朝から気温が高かった。ギラギラの太陽光がコンクリートに反射し、立っているだけで汗が吹き出してきた。
俺が集合場所の柏台駅につくと、すでにそこには湯ノ原の姿があった。真っ白なTシャツにくるぶし丈のストレッチパンツ。シンプルな格好だが相変わらず様になっている。テレビ局の皆さま、映えるイケメンがここにいますよっと。
「湯ノ原」
俺が声をかけると、湯ノ原は微笑んだ。
「佐倉、早いな」
「心晴がいないと準備に時間がかからなくてさぁ」
「わかるわかる。荷物も少ないしな」
「少なすぎて不安になるよなー」
パパ友かっ!
無事に合流できたところで、柏台駅に隣接する商業施設へと移動した。とても大きな施設ではないが、レストラン、ゲームセンター、服飾店、ひととおりの店は揃っている。柏台駅周辺に住んでいれば、何かと利用する機会は多い場所だ。
日曜日の今日、商業施設はたくさんの人で溢れかえっており、俺はすれ違う人と肩をぶつけながら尋ねた。
「心晴へとプレゼントって言ってたけど、目星はつけてんの?」
「女の子向けのキャラクターグッズを売ってる店があるから、行ってみようかなって」
「オッケー」
湯ノ原の先導で専門店街をいくらか歩けば、目的の店はすぐに見つかった。ファンシーな看板を掲げた雑貨店だ。店内には女の子向けのキャラクターが描かれたハンカチやかばん、文房具や髪飾りなどが所せましと並べられている。
「心晴ちゃん、何のキャラクターが一番好き?」
俺は少し考え込んだ。
「んー……かわいい系ならなんでも好きだけど。強いていうならすみっコぐらし?」
「そういえばお菓子買ってったとき喜んでたよなー」
人気のキャラクターだけあって、すみっコぐらしのグッズ売り場はとてつもなく広かった。湯ノ原は売り場を右から左へ眺めたあと、マスコットキーホルダーを2つ指先にぶら下げた。
「どっちがいいと思う?」
「えー…………強いていうならこっち?」
俺が指ささなかった方のキーホルダーを売り場へと戻し、湯ノ原はレジへと向かっていった。他にもたくさん商品はあるというのに、見向きもしないまま。
小走りでレジから戻ってきた湯ノ原は、今まで見た中で一番イイ笑顔だった。
「よっしゃ、これで用事は終わり。遊ぼうぜ!」
……おーい。そんな即決できるなら、俺、一緒にくる意味あった?
腑に落ちない気持ちを残しながら、俺と湯ノ原はゲーセンへとやってきた。ジャラジャラと賑やかなメダルゲームの音が聞こえてくる。開店からまだあまり時間は経っていないというのに、店内は程よく混み合っていた。
「湯ノ原って、普段ゲーセンとかくんの?」
ゲーム音に負けないようにと声を張り上げれば、湯ノ原は浮かれた声で答えた。
「あんま来ない。数年ぶりかも」
「どこで遊んでんの、友だちとは」
「水泳部のやつらとばっかつるんでるからなー。部室で駄弁るか、ダラダラ飯食いに行くのが多い」
へーそうなんだ、と無難な相槌を打った。
途端にワクワク感が湧き上がってきた。基本的にすべての能力値が平々凡々な俺であるが、ゲームだけは自信をもって得意だといえる。アクション、シューティング、パズルゲームなんでもござれだ。何をとっても湯ノ原に勝てない俺が、湯ノ原を打ち負かす最初で最後の機会かもしれない。
「佐倉がどのゲームにするか決めていーよ。俺、よくわかんねぇし」
言ったなこの野郎。
俺は心の中でほくそ笑んだ。
俺が集合場所の柏台駅につくと、すでにそこには湯ノ原の姿があった。真っ白なTシャツにくるぶし丈のストレッチパンツ。シンプルな格好だが相変わらず様になっている。テレビ局の皆さま、映えるイケメンがここにいますよっと。
「湯ノ原」
俺が声をかけると、湯ノ原は微笑んだ。
「佐倉、早いな」
「心晴がいないと準備に時間がかからなくてさぁ」
「わかるわかる。荷物も少ないしな」
「少なすぎて不安になるよなー」
パパ友かっ!
無事に合流できたところで、柏台駅に隣接する商業施設へと移動した。とても大きな施設ではないが、レストラン、ゲームセンター、服飾店、ひととおりの店は揃っている。柏台駅周辺に住んでいれば、何かと利用する機会は多い場所だ。
日曜日の今日、商業施設はたくさんの人で溢れかえっており、俺はすれ違う人と肩をぶつけながら尋ねた。
「心晴へとプレゼントって言ってたけど、目星はつけてんの?」
「女の子向けのキャラクターグッズを売ってる店があるから、行ってみようかなって」
「オッケー」
湯ノ原の先導で専門店街をいくらか歩けば、目的の店はすぐに見つかった。ファンシーな看板を掲げた雑貨店だ。店内には女の子向けのキャラクターが描かれたハンカチやかばん、文房具や髪飾りなどが所せましと並べられている。
「心晴ちゃん、何のキャラクターが一番好き?」
俺は少し考え込んだ。
「んー……かわいい系ならなんでも好きだけど。強いていうならすみっコぐらし?」
「そういえばお菓子買ってったとき喜んでたよなー」
人気のキャラクターだけあって、すみっコぐらしのグッズ売り場はとてつもなく広かった。湯ノ原は売り場を右から左へ眺めたあと、マスコットキーホルダーを2つ指先にぶら下げた。
「どっちがいいと思う?」
「えー…………強いていうならこっち?」
俺が指ささなかった方のキーホルダーを売り場へと戻し、湯ノ原はレジへと向かっていった。他にもたくさん商品はあるというのに、見向きもしないまま。
小走りでレジから戻ってきた湯ノ原は、今まで見た中で一番イイ笑顔だった。
「よっしゃ、これで用事は終わり。遊ぼうぜ!」
……おーい。そんな即決できるなら、俺、一緒にくる意味あった?
腑に落ちない気持ちを残しながら、俺と湯ノ原はゲーセンへとやってきた。ジャラジャラと賑やかなメダルゲームの音が聞こえてくる。開店からまだあまり時間は経っていないというのに、店内は程よく混み合っていた。
「湯ノ原って、普段ゲーセンとかくんの?」
ゲーム音に負けないようにと声を張り上げれば、湯ノ原は浮かれた声で答えた。
「あんま来ない。数年ぶりかも」
「どこで遊んでんの、友だちとは」
「水泳部のやつらとばっかつるんでるからなー。部室で駄弁るか、ダラダラ飯食いに行くのが多い」
へーそうなんだ、と無難な相槌を打った。
途端にワクワク感が湧き上がってきた。基本的にすべての能力値が平々凡々な俺であるが、ゲームだけは自信をもって得意だといえる。アクション、シューティング、パズルゲームなんでもござれだ。何をとっても湯ノ原に勝てない俺が、湯ノ原を打ち負かす最初で最後の機会かもしれない。
「佐倉がどのゲームにするか決めていーよ。俺、よくわかんねぇし」
言ったなこの野郎。
俺は心の中でほくそ笑んだ。