親友の萌歌と和馬は幼馴染で、和馬は今、私の彼氏。
 和馬はいつもクラスの中心にいる、いわゆる一軍男子。
 萌歌は本当は和馬のことが好き。でも和馬にその気はなくて、たくさんの女の子と遊びたい性質だから、萌歌は気持ちを隠してる。
 だから、何かにつけ理由を見つけて、数馬達の群にやたらと絡みに行きたがる。
 
 ちなみに、和馬に私を紹介したのは萌歌。
 私と親友やってんのも、きっと私が数馬の好みの容姿をしていたからで…
 なーんて考えてたら、マジで人間やめたくなってくる。

「あー、死にてー」

 バイトに向かう道すがら、つい口から愚痴が溢れた。

「お疲れーっす」

「ああ、あゆちゃんお疲れ。準備おわったら、あとウラ来てくれる?」
「うーす」

 バイト先の店長さんは、私が唯一信用できる大人だ。昔グレていたそうで、長髪キンパツに肩にはタトゥー(本物)と見た目は厳ついが、私みたいな高校生にもちゃんと筋を通してくれる。

 私は、店のエプロンをかけ、受付回りをととのえると、スタッフ部屋をノックした。

「失礼しまーす、入りまーす」

「ああお疲れ。新しい子入ったから、紹介しようと思って。
 こちら、先輩の高坂愛弓ちゃんよ」

 え?