「イッテー」

「山上!大丈夫!?」

「ああ、足首捻っただけ。大丈…」

海東に手を貸してもらい立ち上がろうとしたが、ビリビリ響く痛みで言葉が切れる。

程度を見ようと、制服のスボンを少し引っ張り顔を出した足首に、二人の視線が止まった。

これ、大丈夫じゃないやつだ。

「わりぃ、海東、これ一人で階段降りれないやつだ。手貸してもらって良いか?」

「うん。保健室この先だよね。保健室まで連れてくよ。」

「サンキュ、助か………る?」

視線が一瞬にして高くなった。


んんん!?


「なるべくケガに響かないように気を付けるから。」


これは…

所謂…

お姫様抱っこされてる?


「海東!?ちょっ、待っ!」

「動かないで。階段危ない。」

それはそうだけども!

大の高1男子を軽々と両手に抱え、海東は階段を下りていく。

この状況は色々よろしくない。

保健室に行くまで、中央棟にある昇降口の前を通る。

今まで通ってきた校内にはほぼ人はいなかったが、昇降口にはまだ結構人が残っているはずだ。