月日が流れても、俺の寂しさは埋まることはなかった。

だから、俺は決めた。


「獅隠!折角良い高校入ったのに、どうして辞めるんだよ!
ここまで人が羨むような道を歩いてきてるのに…
これからだって、このまま進めばお前なら行きたい大学も良い会社にも就職出来んだろ!
勿体ないと思わないのか!?」


登校最終日、学校を去る俺に声を荒げたのは小学校からの友人だった。


「思わないよ。

それは俺に取って大事なモノじゃないから。」


悲しげな表情へ変わる彼に、俺は清々しい気持ちで続けた。


「仮に、それが大事なモノであったとしても、躊躇いなく全て捨てられる。」


捨てた結果が、望んだモノでなかったとしても、後悔はないよ。

俺は、君にもう一度会いたい。

会うだけで良い。

この気持ちを伝えたいとか、好きになってほしいとか、付き合いたいとか、そんな気持ちはない。

ただ、一目会いたい。

会いたいだけなんだ。

そして…

この寂しさから、解放されたい。