「一般クラスの連中はお気楽で良いよなー」

聞き覚えのある声に、面識のある奴は全員げんなりの表情を浮かべ、その中でも一際酷い顔の勇が口を開いた。

「これはこれは特進クラスの高橋"君"、一般クラスに喧嘩売ってる暇があるなら、英単語の一つでも覚えたらどうだ?さぞ、お前には特進クラスはプレッシャーが強かろう。」

高橋は見覚えのある女子生徒と一緒だった。
一歩下がった位置に立つ小坂さんは、小・中学と俺らと学校が一緒で、今は高橋と同じクラスだったはずだ。

「心配頂かなくても結構だ、一般クラスの堀越"君"。俺は部活を免除されている上位10人の1人だぞ?お前らとは頭の出来、遺伝子からして違う生き物だからな。むしろ、そんな月とスッポンくらい違う生き物に心配されるなど、屈辱にさえ思うよ。」

「ハハハ、ならば、とことん心配してやろう。屈辱に溺れるが良いよ、スッポン。」

「スッポンはお前らのことだよ!」

見慣れたやり取りだが、勇は何だかんだ言って高橋で遊ぶのを楽しんでいる様に思う。

「まあ、良い。俺らは忙しいんだ。これ以上付き合ってられん。」

「いや、お前がからんで来たんじゃんか。」

反射的に口に出してしまったシマを高橋がギロリと睨むと、それから逃げるようにウメの後ろに隠れた。

「たく、こんなバカな連中とつるんでるから成績が落ちたんじゃないのか?バカが移るってのは本当だったんだな。」