「では皆さん、アイスは持ちましたか?」

購買部の前の廊下に輪になった皆の手には、購買部で売ってる一番安いミルク味の棒アイスが握られている。

「「「「「はーい!」」」」」

「では、僭越ながらわたくし堀越が音頭を取らせて頂きます。」

「アイス溶けるから早くやって。」

「分かってるって。」

「ゴホン」と勇は一つ咳払いをする。

「海東。」

「はい。」

「雲雀高にようこそ!乾杯!」

「「「「「かんぱーい!」」」」」

アイスをグラスに見立て、5人はそれを輪の中心で合わせた。海東もワンテンポ遅れて合わせる。

「昔からさ、節目の時とか目出度い時とか嬉しい時とかにやってんだ。」

「嬉しい時…」

「まあ、海東を歓迎してるってことだよ。」

「…そっか。」

はにかんだ様に笑う海東は、それを隠すようにアイスを頬張った。