「おおー、これは噂になるなー」

「アル、可愛いー」

「こういうサンナン、凄くレアだな。」

三者三様のコメントがとぶ。



くっ…一生の不覚…

しかも、同じ中学の子にも見られたし…

昇降口では野々村さんに、保健室では佐野さんに…

ホント、恥ずかし過ぎる…

まあ、黄色い悲鳴はまだ良い方なのかもしれない。

それに混じって心ない声も聞こえてきた。

あれは、ダンス部の先輩男子3人組だった。

校則で禁じられている茶髪にして、色々とチャラいことで学校では有名だ。

これまでの学校生活で彼らと接点はなかったが…
これからもないことを祈ろう…


「にしても、転校生マジ顔良すぎだろ。」


そう言うウメも中々のイケメンだけどな。

目付き悪くて強面系イケメン。しかも背も高い。

あの海東より少し高いくらいだろう。

バレンタインには体育館裏とか人気のない所で必ずチョコをもらっているし…

公に騒がれないが、確実にモテている。

そのウメが言う程のイケメン…

確かに。

間近で見て顔面凶器かと思ったわ。


「ちょっと近寄り固いな、俺。」


声に苦手が滲むシマは誰にでも気さくだが、イケメンは慣れるまで緊張すると以前言っていた。
理由は特になく、なんとなく体質的な物らしい。

シマもシマでイケメンなんだが…

何故がモテないイケメンだ。

公に騒がれないどころか、バレンタインはもらったとしても義理かついでチョコ。

球技大会とか文化祭とか、気付くといつも中心にいたりするから人気者ではあるのだが…

多分、シマが海東と仲良くなればクラスにも直ぐ馴染めると思うんだが…
今回の事でシマ以外にも近寄りがたいと思う奴がいるかもしれない。