「朝から疲れてるね」
「昨日は友達と盛り上がって、寝不足です。寝坊して朝ごはん抜き」
 溜め息をついて頬杖をつく千与加に、紗都はラッピングされたプレゼントを差し出す。

「ちょうどよかったかも。おなかの足しにして」
「わ、なんだろ!」
 喜んで包みを受け取った千与加は、中から現れた白いものをしげしげと眺める。使い捨てのプラスチックのケースに三角のぷるぷるした食べ物がふたつ入っている。

「……ようかん?」
「ういろう。うちで作ったの」

「ういろうって自宅で作れるんだ!?」
「簡単だったよ」
 材料は米粉、砂糖と水、少々の塩の四つだけ。米粉から順に入れて水を混ぜ、タッパーにラップを敷いてから生地を入れて、上からもラップをかける。レンジアップしたら完成だ。

「でもクリスマスにういろう!? ケーキでもクッキーでもなくてういろう!?」
「二回言った」
「大事だから!」
 言った直後、ういろうにがぶっとかぶりつく。

「あまーい! 沁みる~!」
「喜んでもらえて良かった。私の好物なの。この前のお礼に」

「なんかありましたっけ」
「忘年会のとき、かばってくれたから」

「原因が私なんで当然のことです。でもありがとうございます」
 千与加は嬉しそうにさらにかぶりつく。気持ちのいい食べっぷりだ。