「スーパーに寄って行こう」
「おなかすいたの、いっぱい買っちゃうかも!」
 黎奈は明るく笑顔で言ったが、どこか無理しているように見えた。



 スーパーではお惣菜やお菓子、デザートに缶チューハイをたくさん買い込んだ。
 重さに泣き言を言いながら歩き、、紗都のアパートに到着したときにはくたくたになっていた。

「ごちゃごちゃしててごめんね」
「そんなことない、綺麗にしてるじゃん」
 部屋をぐるっと見渡して黎奈が言う。
 暇だからと掃除をしていて良かった、と紗都はほっとした。

 それでも六畳一間に独り暮らしの物が溢れているからごたついて見える。
 ベッドが部屋の大半を占めているし、残りの狭い隙間にローテーブルと座布団、テレビにチェスト。部屋からは冷蔵庫も洗濯機も見えていて、生活感が溢れている。

 お惣菜をレンジアップしてローテーブルに並べ、缶チューハイで乾杯をして、たわいもない話をしながら食事をする。
 黎奈が切り出したのは、食事を終えて残ったチューハイをちびちびと飲んでいたときだった。
 缶をテーブルに置くと、なにかを決心したように紗都を見る。

「聞いてくれる?」
「聞くよ」
 改まった黎奈の顔に、紗都も缶をテーブルに置いた。

「今日、彼氏と別れて来た」
「なんで……って聞いて良いのかな」
「いいよ、むしろ聞いて!」