答えのない問いはぐるぐると頭を回る。
 意外な連絡が来たのは六時近くになってからだった。

『急にごめん、今から会えない?』
 黎奈だった。こんな時間から会いたいなんて、初めてのことだ。

『大丈夫、今どこ?』
 メッセージを送ると、駅の名前が返ってきた。家から割と近い。
 これなら、どこかで落ち合うより……。

 紗都はどきどきしながらメッセージを送った。
『良かったらうちくる?』

『いくいく!』
 前向きな返信に紗都はホッとするとともに嬉しくなった。

 最寄り駅で待ち合わせ、黎奈に会って驚いた。
 彼女が洋服だったからだ。
 初めて見る洋服姿もかわいらしい。オフホワイトのざっくりニットは襟元が大きくV字になっていて、そこから覗くデコルテが華奢な印象だ。スカートはスカーフのようなオリエンタルなペイズリー柄で、アシンメトリーな裾が動くたびにひらひらした。

「急にごめんね! 会えて嬉しい!」
 黎奈は会うなり抱きついて来た。こんな彼女も初めてだ。

「私こそ、来てもらってありがとう」
 彼氏とデートだと言っていたのに、ケンカでもしたのだろうか。
 心配になるが、聞くこともできない。