「アクセサリーが作れたら楽しいだろうなあ」
「意外に簡単だよ。つまみ細工でかんざしを作る人もいるし。あっちに材料が売ってるからやってみる?」

「……なでしこショールが作れたら考えてみる」
「そうだね、いきなりあれもこれもは無理だもんね」

 紗都は布を買い、彼女はアクセサリーパーツを買って店を出る。
 黎奈と楽しく夕食を取ってから家に帰る。

 玄関から上がった紗都は荷物を置いて、疲れて床に座り込んだ。
 だが、心は晴れ晴れとして心地いい。

「買っちゃった……!」
 二枚目の着物に帯、なでしこショールを作るための布。裁縫道具を持ってなかったから、百均に寄って針と糸も買ってきた。
 自分が裁縫に挑戦する日が来るなんて思ってもみなかった。

 初めて骨董市に行ったり、手芸ショップに行ったり。

 着物のおかげで次々と新しい扉が開けていくようで、今までになく溢れる多幸感にひたりながら買い物の袋を眺めた。