「私、アクセサリーパーツ見たいからあっちもいいかな」
「アクセサリー作れるの?」
 黎奈の言葉に紗都は驚く。

「簡単なやつだけね。この帯留めは箸置きに金具をつけたの」
「すごい」

「着物好きな人たちはよくやってるよ。帯を自作する人もいるの」
「帯!? 素人が作れるの!?」

「すごいよね。帯芯を買ってきてミシンでガーッと縫って作ったとかブログで言ってるのを見ると、自分にもできそうな気がしてやばい。日暮里に行ってきた報告とか、うらやましくなっちゃう」
 日暮里は繊維の街として有名だ。

「完全に沼……!」
 驚いていると、黎奈はさらに驚くことを言った。

「もっと簡単にテーブルランナーを帯にする人もいるの」
「テーブルにかけるやつ……よね?」

 そうそう、と頷いて黎奈はお値段以上に価値があるという有名家具店の名前を出す。そこで売っているテーブルランナーが帯として使われることがあるらしい。

「なんでも工夫次第ってところが面白いよね」
「知らない世界だった……」
 紗都はただただ目を丸くした。

 彼女とともにアクセサリーパーツのコーナーに行くと、こまごまとしたものが一面にずらりと並んでいた。
 かわいいビーズが並べられ、紗都には用途不明の金具もずらりと並ぶ。
 黎奈はピアスのパーツと帯留め用の金具を手に取った。