着物のお店に立ち寄ると、黎奈は真剣に商品を見ていく。
紗都も見てみたが、万単位の値段でがっかりした。新品だったら何十万、もしかしたら百万円以上したかもしれない着物が数万円で買えるなら安いのだろうが、掘り出し物があるというから、もっと安く買えるのかと思ってしまっていた。
とはいえ、豪華絢爛な刺繍の帯や優雅な柄の着物など、見ているだけでも楽しい。
隣の店ではとんぼ玉が五百円から売られていて、紗都の足はついついそちらに向かった。
大小も色も様々、透明なものも不透明なものもあり、陽の光を受けて燦然と輝いている。
かんざし用の軸も七百円で売られていて、その先端にはめれば好きなとんぼ玉を使ったかんざしになる。とんぼ玉は付け替えが可能だった。
「なにこれお得」
展示ケースにはつまようじが添えられていて、とんぼ玉の穴に差してすくい取れるようになっていた。
紗都は緑のとんぼ玉をすくってみる。白い花がついていて、今日の着物に合う気がした。
「いいじゃん、それ」
いつの間にか隣に黎奈がいて、覗き込んでいた。
「かわいいよね。軸は金と銀、どっちがいいかな」
「金は華やか、銀だと爽やかになるかな? いっそ両方買う?」
「両方かあ」
「かんざしなら洋服でも使えるんじゃない?」
「すごい誘惑……でもそんなに使わないかも」
迷った挙げ句、銀の軸と緑のとんぼ玉を買った。
「買っちゃった!」
小さな紙袋を手に、紗都はどきどきと呟く。
紗都も見てみたが、万単位の値段でがっかりした。新品だったら何十万、もしかしたら百万円以上したかもしれない着物が数万円で買えるなら安いのだろうが、掘り出し物があるというから、もっと安く買えるのかと思ってしまっていた。
とはいえ、豪華絢爛な刺繍の帯や優雅な柄の着物など、見ているだけでも楽しい。
隣の店ではとんぼ玉が五百円から売られていて、紗都の足はついついそちらに向かった。
大小も色も様々、透明なものも不透明なものもあり、陽の光を受けて燦然と輝いている。
かんざし用の軸も七百円で売られていて、その先端にはめれば好きなとんぼ玉を使ったかんざしになる。とんぼ玉は付け替えが可能だった。
「なにこれお得」
展示ケースにはつまようじが添えられていて、とんぼ玉の穴に差してすくい取れるようになっていた。
紗都は緑のとんぼ玉をすくってみる。白い花がついていて、今日の着物に合う気がした。
「いいじゃん、それ」
いつの間にか隣に黎奈がいて、覗き込んでいた。
「かわいいよね。軸は金と銀、どっちがいいかな」
「金は華やか、銀だと爽やかになるかな? いっそ両方買う?」
「両方かあ」
「かんざしなら洋服でも使えるんじゃない?」
「すごい誘惑……でもそんなに使わないかも」
迷った挙げ句、銀の軸と緑のとんぼ玉を買った。
「買っちゃった!」
小さな紙袋を手に、紗都はどきどきと呟く。