「緊張したー。黎奈、すごいね」
「ひとりだと絡まれやすいのよね。なにも知らないと思ってるんだろうけど、知ってるっての!」
 あっけらかん、と黎奈は笑う。

「あんな人たちのことは記憶から抹消! 夕ご飯食べにいこ!」
 紗都は頷いた。

 黎奈は自分より十近く年下なのに、自分よりしっかりしている。
 私もいつか彼女のようになれるのだろうか。

 帰ってから見た彼女の一言投稿サイトでは、彼女がうちわで風鈴を鳴らしている動画があって、なんだか笑ってしまった。