終わったあ!
定時の五時を迎え、那賀野紗都は心の中で叫んだ。
一日中パソコンで作業をしていると体が固まってしまう。うーん、と伸びをすると、腕も背筋も伸びて気持ちが良かった。
金曜日に定時で帰るなんて久しぶりだ。夏の今はまだ明るくて、退社に背徳感すら覚える。
「今日は終わりですか?」
パソコンの電源を落として帰り支度を始めると、隣の席の後輩同僚、谷部千与加が声をかけてきた。ボブカットの元気な女性で、休憩時間には雑談をする仲だ。
「たまにはね」
「いいなあ、私は残業ですよ。あ、手伝えってことじゃないですよ。いつも助けてもらってるし、今日はひとりで頑張ります」
「そっか、頑張れ!」
励ました直後、紗都は少し首を捻った。
「人間ってどうして励ますんだろう」
きょとんとした千与加を見て、やっちゃった、と紗都は焦った。自分はたまにこういうことを言ってしまう。
「本能みたいなところあるよね。原始時代から集団生活してるからかな? 仲間が食料を獲って来てくれたら自分のためにもなるから」
慌てて付け足すと、千与加は面白そうに笑った。
「原始時代を持って来るところが面白い!」
良かった、笑ってもらえた。ほっとして紗都も笑った。
「土日は遊びに行きたいなー。那賀野さんはどっか行ったりします?」
定時の五時を迎え、那賀野紗都は心の中で叫んだ。
一日中パソコンで作業をしていると体が固まってしまう。うーん、と伸びをすると、腕も背筋も伸びて気持ちが良かった。
金曜日に定時で帰るなんて久しぶりだ。夏の今はまだ明るくて、退社に背徳感すら覚える。
「今日は終わりですか?」
パソコンの電源を落として帰り支度を始めると、隣の席の後輩同僚、谷部千与加が声をかけてきた。ボブカットの元気な女性で、休憩時間には雑談をする仲だ。
「たまにはね」
「いいなあ、私は残業ですよ。あ、手伝えってことじゃないですよ。いつも助けてもらってるし、今日はひとりで頑張ります」
「そっか、頑張れ!」
励ました直後、紗都は少し首を捻った。
「人間ってどうして励ますんだろう」
きょとんとした千与加を見て、やっちゃった、と紗都は焦った。自分はたまにこういうことを言ってしまう。
「本能みたいなところあるよね。原始時代から集団生活してるからかな? 仲間が食料を獲って来てくれたら自分のためにもなるから」
慌てて付け足すと、千与加は面白そうに笑った。
「原始時代を持って来るところが面白い!」
良かった、笑ってもらえた。ほっとして紗都も笑った。
「土日は遊びに行きたいなー。那賀野さんはどっか行ったりします?」