殿下が渡してくださった小さな小瓶にはキラキラとした粒子がまるで光のようにまばゆい輝きを放っていた。

 初めて見るものなのに、自然とコルク栓を開け、小指にその彩りを含ませ、瞳を飾る。

 途端に、今まで見えていなかった、いえ、ここに存在するはずのない道筋が前方に広がり、わたくしを迎えてくれる。

「では、行ってまいります」

 殿下に会釈をして、そこへ一歩足を踏み入れる。

 永遠と続く明るい道筋を目で追い、改めて後ろを振り返ると、そこにはすでに殿下の姿はなく、先程まではなかった別の空間が広がっていた。

(行かなくては!)

 進むべく先の世界へ視線を向ける。

 まっすぐ、まっすぐ彼の元へと向かう。

 気づいてくれなかったらどうしようかと、そんな不安を胸にいっぱいに抱えながら。