あの方は

 わたくしのことなんて見てくれないのだ。

 それならば

 それならばもう開放してほしい。

 あの方が開放してくれたのなら

 わたくしは遠くへ行くわ。

 どんな手を使ってでも。

 きっと

 たくさんの涙を流すことになるだろう。

 たくさん泣いてしまうだろう。

 それでも

 それでも信じているのだ。

 またいつか

 笑顔の明日が迎えられるように。


        −−−−−


 そう記し、
 
 レディ・カモミールはペンを置いた。