「シルヴィアーナ様の髪は本当にまっすぐで美しいですね」

 いつものように、今日もわたしはシルヴィアーナ様の御髪を整える。

「銀色の髪色は一本一本の光沢が光っていて惚れ惚れしてしまいます」

 見た目よりもやわらかいその髪に触れるといつもドキドキしてしまうのだ。

「ねぇ、シルヴィアーナ様」

 いつもと同様スコーンとカモミールティーが置かれているのにわたしは彼女に新しい物語を贈ることができない。

 とはいえ、できたてほやほやのレディ・カモミールの短編集を持ってきたからそれで喜んでもらえたら嬉しい。

 できるだけいつものとおりにと過ごしたい願う本日は月が最も丸くなる日なのだ。

 わたしは変わらない笑顔を向ける。

(あなたには指一本触れさせない)

 そう、心に誓いながら。