学校にはお母さんから連絡を入れてもらって、朝食として焼いてもらったバタートーストを、朝のニュース番組をぼうっと眺めながら平らげたあと、あたしは部屋着のまま自室に戻って、カーテンをぴったりと閉めたままベッドの中に転がり込んだ。


 布団を頭まで被って、SNSを徘徊する。


 真昼が昨晩あげた敦とのツーショットとか、日菜が社会人の彼を車内から写したような写真とか、そういうのにひとしきり目を通してから、ため息と共に画面を閉じた。


 学校で過ごす数時間はすごく退屈で長く感じるけれど、こうやって部屋でスマホを眺めながら過ごす数時間には、また別種の退屈さがある。


 こんな気分になるんだったら、おとなしく学校に行って真昼たちと駄弁ったほうが良かっただろうか。

 今更ながらの後悔とともに、もう一度布団の中に深く身体を埋めた。


 寝よう、と思ったとき、右手の中にあるスマホが光って、通知が現れる。



〈紬乃ちゃん、体調は大丈夫?〉

〈なんか、名前わかんないんだけど、違うクラスの男の子が紬乃ちゃんのこと探してたよ〉

〈今日は休みって伝えたんだけど、何か、用事があったみたいで〉



 SNSのダイレクトメッセージでそう送ってきたのは、体育祭のとき一緒に、C組のバスケの試合を応援した、坂下ちゃんだった。


 真昼と仲が良いとはいえ、あたしとはあまり絡みのない坂下ちゃんから連絡がきたこと自体、なんだか変な感じがしたけれど、それよりも気になったのは、あたしのことを探している男子の存在。


 心当たりがないといったら嘘になる。


 多分、千歳色だ。


 わざわざありがとう、了解です、と絵文字いっぱいにしたよそ行きのメッセージを送ってから、次に開いたのは、千歳色とのメッセージ画面。



〈あたしに用事があるのって、千歳くん?〉



 そうメッセージを打って送った。
 返信は、しばらく来なかった。