藍と解散し、家に着いて荷物をとりあえず部屋に放り投げると、一気に疲れがやってきたので、すぐお風呂に入ることにした。


 整髪剤でガチガチに固められた髪の毛と、汗をかいた身体だけは丁寧に洗ったけれど、あとは面倒になってしまって、一連の流れをだいぶ適当にすませてしまった。


 お風呂から上がり、タオルで髪の毛を乱雑に拭きながらスマホを手に取ると、いつも以上にたくさんの通知が溜まっている。


 通知欄をスクロールしながら、それぞれのメッセージに軽く目を通しているとき、

 ひとつ、気になるものを見つけた。




〈知ってる?〉




 そんな言葉の送り主は、少し前に言葉を交わし始めたばかりの千歳色のもので、彼からの送信は、そのメッセージと、画像が一つ。

 通知画面から、その画像の詳細はわからない。


 ……何だろう、これ。


 森田の一件のあと、千歳色と話すことは特になかったけれど、なんとなく内容が気になって、その通知をタップした。


 にゅ、と画面が切り替わると、アプリが切り替わり、千歳色とのトークルームが立ち上がる。



 画像が表示される。

 驚きのあまり、タオルドライの動きが止まった。



 そこに写っていたのは、C組のクラスTシャツを着て笑顔でピースサインをしてみせる藍と、藍の隣にいる、ポニーテールの見知らぬ女の子。そしてその2人にスマホのカメラを向ける、もうひとりの女の子。

 場所は、体育館。


 千歳色から送られてきた写真は、藍があたしの知らない間に、あたしの知らない女の子とツーショットを撮っていた、ということを示している。


 きっとバスケの試合の後だろう。あたしが、体育館からいなくなった後。


 ひとつ、ため息を吐いてから、ドライヤーのコンセントを雑に差し込んだ。