体育祭が終わったあとは、藍とふたりだけの打ち上げをした。


 学校の近くにある、個人経営のレストランで食事をとったくらいだけど、写真を見せあったりだとか、誰が何をした、だとか、そういう話が結構盛り上がる。


 真昼たちと撮った写真を見ながら、さっきのあれは本当に恥ずかしかったと藍に伝えたけれど、さっきの紬乃はめちゃくちゃ可愛かったよ、だなんてもっと恥ずかしい言葉を投げてくるものだから、どうしようもない。


 食事をとっている間、藍の携帯はずっと通知を鳴らしていて、おおかた、クラスのひととか、一緒に写真を撮った人なんかが藍に連絡しているのだろうと思った。


 かくいうあたしも、それこそいつものグループのメンバーとか、クラスの人とか、違うクラスの友達なんかから写真や動画をたくさん送られてはいたけれど、それにしたって藍の人気具合はすごいと思う。


 藍は、通知うるさくてごめん、といって、スマホを通知の鳴らない設定にして、そしてあたしに向き直った。


 誰よりも藍のことを好きな自信はあるけれど、藍のほうだって、あたしのことをとても大切にしてくれている、と思う。


 たとえば、こうやってあたしといるときは、あまりスマホを触らないようにしてくれるところとか、あたしに対して、思い切り甘ったるい女の子扱いをしてくれるところとか。


 だけど、藍の人当たりが柔らかいのは、今に始まった話じゃないから、この柔らかさが他のひとに向くのは、やっぱり嫌。


 そのうち食事を終えて、じゃあそろそろ出ようか、となったので、あたしたちは会計をすませ、お店を出た。


 レストランからしばらく歩いて、あたしの家の前まで来ると、藍はじゃあ、また連絡する、といって、あたしに手を振った。