振り返って真昼の方を見ると、写真撮ってー、と真昼がカメラアプリが開かれたスマホを渡してきた。
どうやら、敦との写真を撮りたいらしい。
あたしは快諾して、真昼のスマホを持って2人にカメラを向ける。
まずは普通に写真を撮ってみる。角度を変えたり、光の具合を見ながら数枚撮ったところで、手持ち無沙汰に写真撮影会の様子を見ていた藍が、敦に向かって変なことを言い始める。
「敦、真昼ちゃんのこと抱き上げてよ」
藍の口調からして、冗談半分、本気半分って感じだったけど、今は体育祭の余韻で気分が高まっていたし、それにこういう空気感は嫌いじゃないから、「敦やっちゃいなよ、お姫様抱っこ」といって2人を唆した。
真昼は、「さすがにむり!」と恥ずかしがってはいたけれど、まんざらではないといった感じだった。敦の方は、どちらかと言えば藍よりも悪ふざけをするタイプの奴だったから、「真昼やるぞー」とやる気満々のようだ。
結局真昼の方も承諾して、敦は真昼を横抱きにした。
すると、周りにいた人たちが真昼たちの様子を見て、きゃあ、と黄色い声を上げた。
あたしはすかさず、シャッターを切る。
我ながら、良い写真が撮れたと思う。恥ずかしそうに笑う真昼も、楽しそうな敦も、可愛らしいし、ふたりはやっぱりお似合いだと思う。
写真をひとしきり撮り終わって、敦が真昼を立たせたあと、真昼があてつけをするみたいに、あたしと藍に吐き捨てた。
「紬乃も同じのやって!」