藍の方を見ると、彼は相変わらずC組の人たちと一緒にいて、何人かで写真を撮ったりだとか、色々な人と話したりしていて、結構忙しそうだった。


 だけどあたしは、実行委員、しかも委員長を無事にやり通した藍にお疲れ様って言ってあげたかった。それにあたしと藍は、このあと一緒にご飯でも食べて帰ろうか、だなんて約束も事前にしていたから、どちらにせよそろそろ藍と話しておきたい。



「藍くんのとこ行く?」



 あたしの様子に気づいた真昼が耳打ちしてくる。


私も(あつし)のとこ行きたいから、一緒に行こ? と真昼が誘ってくれたので、あたしはすぐに頷いて、C組のみんなが集まっているところに向かっていった。


 藍のところに行くと、藍はちょうどクラスメイトの男女と、あとは後輩の女の子数人に囲まれていて、まあ仕方ないんだろうけど、女子が藍を取り囲んでいるのには多少苛立ちを覚える。


 行事のときばっかり藍と都合よく関わろうとして、ばかばかしい。

 それに、女子たちがあたしの存在に気づかずに藍と話し込んでいるのも癪に触る。


 どうしようか、と思っていると、真昼の彼氏である敦が、あたしと真昼の存在に気づいたようで、こちらに手を振ってきた。

 そのまま敦は、そばにいた藍に、紬乃ちゃん来てるー、と伝えてくれる。


 敦のその声で、そこにいた全員があたしたちの方を向いた。


 表情がぱっと明るくなる藍とは裏腹に、藍と一緒にいた女の子たちは、あ、と恐れと気まずさの両方を含ませた表情をしてみせたので、あたしは彼女たちを一瞥してから、藍の方に向き直った。



「藍、お疲れ様! よく頑張ったね」

「ありがとう。紬乃もお疲れ」



 あたしが来たことで、周りの女の子たちはすぐに捌けていった。本当に何なんだ、あの子たちは。


 あたしと藍がそんなふうに互いを労い合っているときだった。

 後ろの方から、紬乃ー、と真昼があたしを呼んでいるのが聞こえた。