藍が出ている試合を見ながら、真昼とだらだらおしゃべりをした。


 「自分の彼氏が体育祭で活躍するのは嬉しいけど、みんなから格好いいって思われるのは複雑!」とこぼしたのは真昼の方で、「彼氏がみんなから黄色い声援を浴びたとしても、それが自分の彼氏だったら優越感あるよね」だなんて言ったのはあたし。


 真昼はそんなあたしに、性格わっる、とにやにやしながら言ってきたけど、それは本心から言ってる訳じゃないっていうのはわかる。

 何なら、あたしと馬の合う真昼だって、同じように思っているはず。

 だって人間なら、そんな醜さは当然誰でも持っているだろうから。


 お喋り3割、観戦3割、藍の観察が4割って感じで応援しているうちに、あっという間に試合が終わって、結果は藍のクラスの勝ち。


 トーナメントだから、次は確かD組と対戦するはずだろうけど、あいにくあたしは、次のスケジュールでバドミントンの試合に出なくちゃいけないから、藍の応援はここでお終い。



「藍、おつかれ」



 試合を終えて、大きな拍手をもらったC組のメンバーたちは、その辺にした女子たちから、写真撮りましょう、とか、そういうことを言われていたけれど、藍は真っ先にあたしのところに来てくれたので、あたしは素直に、藍にお疲れさまっていう。


 藍は、応援来てくれて嬉しかった、と爽やかな顔で言いながら、いつも部屋でするみたいに、あたしの後頭部を撫でた。


 すると周りから、きゃああ、とまた黄色い声があがった。声の方向を認識する。

 それは、あたしたちふたりに向けて放たれた声であると、すぐにわかった。