「……あれ? でも、じゃあ私たちの関係ってなんだろう?」
少し経って、可愛い顔で笑っていたのぞみがハッとしたように言った。そう聞かれると返事に困ってしまう。
たしか前に正晴と話していた時、俺はのぞみのことを友達だと言った。しかし、本当にそれが正しいのかは分からない。友達の定義なんて曖昧なものだし、恋愛的な好意を抱いている相手を果たして友達と呼んでいいものなのだろうか。
「うーん、友達っていうのとはちょっと違う気がするよね」
「そ、そうだな」
ちょうど思っていたことを言われて焦ってしまう。心でも読まれたのだろうか。
「冬くん的にはどう思う?」
迷っていた俺は、小首を傾げて聞かれても、なかなか答えられなかった。
「知り合い」で済ませるには近すぎる距離で、「友達」とは少し違って、「恋人」なんて思い上がりも甚だしくて。
俺にとっては「片想いの相手」だけど、きっとそれだけじゃないし、それじゃ俺たちの関係性を示したとは言いきれないだろう。
「まあでも、そんなのどうでもいっか!」
俺が考え込み始めると、のぞみは笑ってそう言った。
「私と冬くんがこうやって会えてれば、どんな関係かなんて別に関係ないよね」
「……うん、そうだな」
嬉しかった。
そう言ってくれることが。
そう思ってくれることが。
「友達」が「友達」でなくなることを俺は何度も体験してきた。関係なんて、いつだってすぐに変わってしまう。そんな不確かなものに名前をつけるくらいなら、最初からない方が気楽で、むしろ安心できる。
少し経って、可愛い顔で笑っていたのぞみがハッとしたように言った。そう聞かれると返事に困ってしまう。
たしか前に正晴と話していた時、俺はのぞみのことを友達だと言った。しかし、本当にそれが正しいのかは分からない。友達の定義なんて曖昧なものだし、恋愛的な好意を抱いている相手を果たして友達と呼んでいいものなのだろうか。
「うーん、友達っていうのとはちょっと違う気がするよね」
「そ、そうだな」
ちょうど思っていたことを言われて焦ってしまう。心でも読まれたのだろうか。
「冬くん的にはどう思う?」
迷っていた俺は、小首を傾げて聞かれても、なかなか答えられなかった。
「知り合い」で済ませるには近すぎる距離で、「友達」とは少し違って、「恋人」なんて思い上がりも甚だしくて。
俺にとっては「片想いの相手」だけど、きっとそれだけじゃないし、それじゃ俺たちの関係性を示したとは言いきれないだろう。
「まあでも、そんなのどうでもいっか!」
俺が考え込み始めると、のぞみは笑ってそう言った。
「私と冬くんがこうやって会えてれば、どんな関係かなんて別に関係ないよね」
「……うん、そうだな」
嬉しかった。
そう言ってくれることが。
そう思ってくれることが。
「友達」が「友達」でなくなることを俺は何度も体験してきた。関係なんて、いつだってすぐに変わってしまう。そんな不確かなものに名前をつけるくらいなら、最初からない方が気楽で、むしろ安心できる。