正晴が言ったことは、もっともなことだった。だが、それなら俺の罪が消えるのかといえば、それはまた別の話だろう。

「もし俺がそんなこと思わなくったって、のぞみはもう長くは生きられなかったかもしれない。でも、思っちゃったことには変わりはない。一度思ったことは消えないんだよ」

自分の言葉を咀嚼するように、ゆっくりと話す。正晴は辛そうな顔をしながらも、まっすぐと俺の目を見ていた。

「だから、事実がどうであれ、俺は自分が思ったことを罪だと認識してる」

俺がそうはっきりと言い切ると、正晴の顔が強く歪む。そこに浮かんでいたのは、やりきれなさだった。

「冬が本気でそう思ってるんなら、これ以上俺には何も言えないよ」

正晴は聞いている方が苦しくなるような声で言って、頭を掻いた。自分の言葉が正晴のことも苦しめている。それをわかっていても、もう訂正はできなかった。


「これからどうするつもりなの?」

正晴は頭を掻いた後、力なく手を降ろしながら聞いてきた。ある程度は予想していた質問だったので、俺は迷わずに答える。

「のぞみに俺の体質のことを話す。で、それを聞いても仲良くしてくれるってんなら、これからものぞみのところへ通う。罪の償い方はわからないけど、それが一番いいんだと思う。俺にとっても、のぞみにとっても」

俺の勝手な妄想かもしれない。のぞみは俺となんか残りの時間を過ごしたくないかもしれない。でも、俺はのぞみと過ごしたい。もっとたくさん話をして、もっとたくさんのぞみの笑った顔を見たい。


罪を背負う覚悟はできている。
拒絶されたら、その時は男らしく潔く諦めよう。

何にせよ、まずは全てをさらけ出してのぞみと向き合うところからだ。