「で、何があったわけ?」

明るい音楽の中、いつもより険しい顔をした正晴と対峙している。

ここは病院近くの喫茶店。
落ち着いて話すのにはうってつけだろうということで、病院を出てからここに来た。

その間、正晴は何も聞いてこなかったが、相当気になっていたようで、席についてすぐに質問された。俺は言っていいものか少し迷ったが、素直に言うことにした。俺ひとりで抱えるにはあまりに重い話だったからだ。


「……のぞみちゃん、そんな重い病気だったんだ」

のぞみから聞いたことを全て話すと、正晴は整った顔を歪ませてそう言った。正晴にしては珍しく、言葉を失っている。

「なあ、俺はなんて声かけてやれば良かったと思う?」

俺は一番知りたかったことを尋ねてみた。しかし、正晴は小さく首を横に振ってうなだれただけで、解決方法を示してはくれなかった。


「春まで生きられないって、余命半年とかそんくらいだろ。短すぎるよなぁ、そんなの」

俺のその言葉に正晴はさらに顔を歪ませる。

「……冬、それがどういうことかわかってるよね」

そして、その顔のままそう聞いてきた。