バスから降りてすぐの所にアイス屋はある。店内に入ると暑いからか、学校帰りと思しき高校生がちらほらいた。

「いらっしゃいませ! ご注文をどうぞ」

若い女の店員がにっこりと笑って言う。俺はチョコ、のぞみは苺のアイスを頼んだ。ここのアイスはチョコならチョコクッキー、苺ならざく切りになった苺の実が入っていて、食感までも楽しめるようになっている。それが俺のお気に入りポイントだ。

俺たちは綺麗に丸くなったアイスを受け取り、空いている席に向かい合って座った。甘い匂いが早く食べてと俺を誘う。いただきます、と声を揃えて言うと、二人同時に一口目を食べた。優しい甘さが口の中に広がる。

「んー、美味しいぃ!」

目を閉じて足を小さくバタバタさせながらのぞみが言った。相当美味しかったようだ。

「冬くん、これめっちゃ苺! どれくらい苺かって言うと、とにかく苺!」

食べ進めながら、はしゃいで叫ぶ彼女はとても可愛かった。語彙力の低下の仕方には笑ってしまうが。

「語彙力下がりすぎ」

俺が笑いながらつっこむと、のぞみはムッとした。

「じゃあ、冬くんも食べてみてよ!」

ピンク色のアイス一口分を掬ったスプーンが、眼前に突きつけられる。これを食えと言うことらしい。

これはいわゆる間接キスにあたるのではないだろうか。無駄にドキドキしてしまう。のぞみは意識していないらしく、平然とした顔をしている。


「はい、あーん」

さらにあーんまで要求される。物凄く恥ずかしい。だが、ここで逃げたら男じゃない気がした。

目を瞑って、口を開ける。直後、ヒンヤリとしたものが舌に触れた。そこでパクッと口を閉じると、唇の間からスプーンが引き抜かれた。