「なあ、先生なんて言ってた?」
 
俺は、椅子を断ってベッドの傍らに立った母さんに聞いてみた。隣に立つ正晴も聞きたげだ。
 
「んー、まあいつもと同じね。特別なことはなかったわよ。新しく分かったこともなさそうだったしね。あ、そうそう、リハビリはもう少し回復してから始めようってさ」
「うぅ、リハビリなぁ」
 
母さんの言葉に俺は顔を顰めた。
リハビリは辛いし、疲れる。だが、しないわけにもいかないから面倒だ。
 
「大変だねぇ」

にやにやした顔で正晴がそう言って、俺の肩に手を乗せる。振り払う気力も体力もないので目だけで反抗すると、さらに顔のにやにやを深めた。

「正晴、その顔ムカつく」
「ムカつかせようとしてるからね」

悪びれずに正晴が笑う。いつものこととは言えついついイラッとしてしまう。まあ、これはこれで楽しいのだが。

そんな俺たちを母さんも微笑ましそうに見ていた。