「あ、でも、冬くん退院しちゃうと少し寂しいかも……」
のぞみが思い出したように言う。その声はしょんぼりしていて、申し訳ないような、それでいてむず痒いような感じがした。
「退院してものぞみの見舞いには来るよ。俺あんまり忙しくないし」
彼女の顔が、ぱっと明るくなった。表情がコロコロと変わって面白い。
「わー、嬉しい! いつでも来てね! 待ってるから」
よほど嬉しかったのか、前のめり気味に言われる。思った以上に俺のことを好いてくれているのかもしれない。もちろん、そこに深い意味ではないだろうけど。
その後、のぞみはお邪魔しました、と自室へ帰り、俺たちは作業を再開した。正晴のおかげで無事支度は終わり、あとは明日になるのを待つだけになった。
そして、翌日。
病院を出た俺は、久々に家へ帰り、懐かしいにおいに包まれた。やっぱり自分の家は安心する。
ここまで来て、やっと俺は春というものを実感した。
のぞみが思い出したように言う。その声はしょんぼりしていて、申し訳ないような、それでいてむず痒いような感じがした。
「退院してものぞみの見舞いには来るよ。俺あんまり忙しくないし」
彼女の顔が、ぱっと明るくなった。表情がコロコロと変わって面白い。
「わー、嬉しい! いつでも来てね! 待ってるから」
よほど嬉しかったのか、前のめり気味に言われる。思った以上に俺のことを好いてくれているのかもしれない。もちろん、そこに深い意味ではないだろうけど。
その後、のぞみはお邪魔しました、と自室へ帰り、俺たちは作業を再開した。正晴のおかげで無事支度は終わり、あとは明日になるのを待つだけになった。
そして、翌日。
病院を出た俺は、久々に家へ帰り、懐かしいにおいに包まれた。やっぱり自分の家は安心する。
ここまで来て、やっと俺は春というものを実感した。