「あ! ねぇ、冬って確か甘い物好きだよね?」 
 
数分後、スマホを見ていた正晴が急に顔を上げてそう聞いてきた。いきなりだったのでびっくりする。
 

「あ、ああ。それがどうかしたか?」
「えーっと、ほらこれ見て!」

バッと目の前に出されたのは正晴のスマホだ。画面にはスイーツ専門店のサイトが映っている。
 
「ここのチェーン店が二月に駅前にできたんだって。冬行きたがるかなって思って」
 
正晴の楽しそうな感じが伝わってきて、俺は笑って小さく頷いた。
 
「スイーツの食べ放題もやってるみたいだから、冬が退院したら一緒に行こ。それまで楽しみに待ってるから」
 
その誘い自体はすごく嬉しかった。だが、俺の退院まで待たせるのは申し訳ない気がした。


俺は正晴の目を見て言った。

「俺が退院するの待たないで誰かと行けばいいのに。正晴も甘いの好きだろ?」
「えー、冬とがいいんだもん。むしろ冬とじゃなかったら行きたくないし」