また無言の時間が続いた。たまに右腕のあたりがモゾモゾと動く。体勢が苦しいのかもしれないと思って向きを変えようとすると、のぞみは左手を俺の右手に絡めた。相変わらず小さな手だった。
「冬くん、好きだよ」
さっきとは打って変わって、はっきりとした声をしている。面と向かって言われたのは、告白の日以来である。なんで今、なんて無粋なことは言わなかった。これが最後になるかもしれない。そんな考えは消せるものではないからだ。
「俺ものぞみのこと好きだよ」
静かな暗い病室で、素直な気持ちを答える。好きという言葉が軽く思えるくらい、のぞみへの思いは強い。だが、俺の語彙力では好きという以外に言葉が出てこなかった。返事を聞いたのぞみは、顔を上げて俺を見た。至近距離で目が合う。どちらからともなく、さらに顔が近づいた。初めて触れたのぞみの唇は柔らかくて、さすがに少し緊張した。
顔が離れても、手は繋いだままだった。のぞみは反対の手で、恥ずかしそうに前髪をなおしている。俺も気恥ずかしくなって、崩れてもいないのに前髪を整えた。そして、顔を見合わせて声を出さずに笑う。複雑な心の中で、明るい部分が増した気がした。
それからは、いつものように他愛のない話をした。声が漏れるとまずいので、ひそひそと話しているのがなんだかおかしい。時折無言の時間が生まれては、思い出したようにどちらかが口を開く。深夜だからというのもあって、すでに夢の中にいるようだった。
「冬くん、好きだよ」
さっきとは打って変わって、はっきりとした声をしている。面と向かって言われたのは、告白の日以来である。なんで今、なんて無粋なことは言わなかった。これが最後になるかもしれない。そんな考えは消せるものではないからだ。
「俺ものぞみのこと好きだよ」
静かな暗い病室で、素直な気持ちを答える。好きという言葉が軽く思えるくらい、のぞみへの思いは強い。だが、俺の語彙力では好きという以外に言葉が出てこなかった。返事を聞いたのぞみは、顔を上げて俺を見た。至近距離で目が合う。どちらからともなく、さらに顔が近づいた。初めて触れたのぞみの唇は柔らかくて、さすがに少し緊張した。
顔が離れても、手は繋いだままだった。のぞみは反対の手で、恥ずかしそうに前髪をなおしている。俺も気恥ずかしくなって、崩れてもいないのに前髪を整えた。そして、顔を見合わせて声を出さずに笑う。複雑な心の中で、明るい部分が増した気がした。
それからは、いつものように他愛のない話をした。声が漏れるとまずいので、ひそひそと話しているのがなんだかおかしい。時折無言の時間が生まれては、思い出したようにどちらかが口を開く。深夜だからというのもあって、すでに夢の中にいるようだった。