「じゃあ次は私の番ね。うーんと、そうだなー」
映画の話がひとしきり終わると、のぞみは口元に手を当てて考えるそぶりをした。いつの間にか順番制になっていたらしい。この流れだと、俺も次を考えなくてはいけなそうだ。
「あっ、だいじなことを忘れてた! 春になったら桜を見に行きたい!」
しまった、という顔をして、少し大きな声で彼女が言う。大前提すぎて俺も少し忘れていた。言うまでもなく、俺と、あの公園で見るということなのだろう。当然、それは俺の望みでもある。桜の中で見るのぞみは、どんなに綺麗だろうか。想像するだけで愛おしい。
「はい、冬くんの番」
「春になったら、のぞみの誕生日のお祝いをしたい」
やはり順番が回ってきたので、用意していた答えを言う。急な思いつきというよりは、前から考えていたことだ。
「え、なんで私の誕生日知ってるの? 教えたことあったっけ?」
「前にちらっと言ってたぞ。4月2日だろ?」
「そうだよー。あれ、私いつ言ったんだろ? 冬くん記憶力いいね!」
のぞみのことだから覚えていただけに過ぎないが、恥ずかしいのでそれは言わないでおく。お祝いといっても、別にたいしたことはできない。それでも何かしたいと思うのは、きっと彼女の存在がかけがえなくて大切だからだ。生まれてきたことへの感謝と祝福を。そんな言い方をすると重いが、本気でそう思っている自分がいた。
映画の話がひとしきり終わると、のぞみは口元に手を当てて考えるそぶりをした。いつの間にか順番制になっていたらしい。この流れだと、俺も次を考えなくてはいけなそうだ。
「あっ、だいじなことを忘れてた! 春になったら桜を見に行きたい!」
しまった、という顔をして、少し大きな声で彼女が言う。大前提すぎて俺も少し忘れていた。言うまでもなく、俺と、あの公園で見るということなのだろう。当然、それは俺の望みでもある。桜の中で見るのぞみは、どんなに綺麗だろうか。想像するだけで愛おしい。
「はい、冬くんの番」
「春になったら、のぞみの誕生日のお祝いをしたい」
やはり順番が回ってきたので、用意していた答えを言う。急な思いつきというよりは、前から考えていたことだ。
「え、なんで私の誕生日知ってるの? 教えたことあったっけ?」
「前にちらっと言ってたぞ。4月2日だろ?」
「そうだよー。あれ、私いつ言ったんだろ? 冬くん記憶力いいね!」
のぞみのことだから覚えていただけに過ぎないが、恥ずかしいのでそれは言わないでおく。お祝いといっても、別にたいしたことはできない。それでも何かしたいと思うのは、きっと彼女の存在がかけがえなくて大切だからだ。生まれてきたことへの感謝と祝福を。そんな言い方をすると重いが、本気でそう思っている自分がいた。