帰り道、空には星が光っていた。雨上がりの湿った空気は残っているが、雨自体は少し前に止んだらしい。水溜まりを踏まないように気をつけつつ、夜空を見上げて歩く。なんとなく、夜にのぞみと会ったことがないことに思い至った。
こんな夜空の中で見る彼女はきっと綺麗だろう。イルミネーションやら、花火やら、深夜のコンビニやら、ベタな妄想が頭に浮かぶ。でも、できないことばかりだ。できないことを数え出したらきりがない。したいことを数え出してもきりがない。その二つはだいたいイコールなのだから。
「あの世界が永遠ならいいのに」
小声で本音が漏れた。あの世界では、俺が冬に眠ることも、のぞみの命が残り少ないことも、何も関係がない。その代わり、イルミネーションも花火も深夜のコンビニも楽しめない。でもそれでよかった。どっちにしたってできないのなら、それがよかった。
「あの世界が永遠ならいい」
もう一度、口に出した。叶うことのない願望を口にするのは好きではないから、永遠になってほしいとは言わなかった。夜風が吹いて、体が急激に冷える。今年の冬ももう近い。
俺はわざと水溜まりを踏んだ。そんな気分だった。でも、今の生活を全部壊せるほど、投げやりにはなっていない。その後はまた水溜まりを避けながら、夕飯の買い物をしにスーパーに向かった。
こんな夜空の中で見る彼女はきっと綺麗だろう。イルミネーションやら、花火やら、深夜のコンビニやら、ベタな妄想が頭に浮かぶ。でも、できないことばかりだ。できないことを数え出したらきりがない。したいことを数え出してもきりがない。その二つはだいたいイコールなのだから。
「あの世界が永遠ならいいのに」
小声で本音が漏れた。あの世界では、俺が冬に眠ることも、のぞみの命が残り少ないことも、何も関係がない。その代わり、イルミネーションも花火も深夜のコンビニも楽しめない。でもそれでよかった。どっちにしたってできないのなら、それがよかった。
「あの世界が永遠ならいい」
もう一度、口に出した。叶うことのない願望を口にするのは好きではないから、永遠になってほしいとは言わなかった。夜風が吹いて、体が急激に冷える。今年の冬ももう近い。
俺はわざと水溜まりを踏んだ。そんな気分だった。でも、今の生活を全部壊せるほど、投げやりにはなっていない。その後はまた水溜まりを避けながら、夕飯の買い物をしにスーパーに向かった。