病院に着くと、息を整えてから院内に足を踏み入れた。心臓が高鳴っているのは、走ってきたせいなのか、それとも緊張しているからなのか。
受付に寄ってから、目的の部屋へと向かう。いつもの道をいつものように、いつものペースで。
入院棟六階七号室。
もう何度も来た場所。
好きな人の病室。
好きだけど憎くてたまらなくて、それでも楽しい空間。
大切な彼女といられる唯一の場所。
病室の前で一度大きく息を吸い、柄にもなく慎重にノックなんてしてからドアをゆっくりと開けた。中の人がこっちを向いたのと同時に、そのこげ茶の髪がサラリと揺れる。
「冬くん!」
彼女は俺を認識してすぐにそう声を上げた。幸せそうに微笑む顔が可愛くて、なんだかちょっとこそばゆい。俺一人が、その笑顔を独占していると思うと特に。
「約束通りバイトから直行ー」
冗談みたいに言ってみせて、照れ隠しをする。まあ、のぞみにはバレバレなんだろうけど。
とりあえず俺は、定位置であるパイプ椅子に座った。それから、ふぅと重く息を吐く。
さて今から告白だ。
この高揚っぷりのままではろくに会話も出来ないし、なにより心臓がもたない。俺の心身への負担を考えれば早めに伝える方がよいだろう。
何事も当たって砕けろだ。もちろん最低限砕けたくはないが。
俺は心の中でそう言い聞かせ、覚悟を決めて口を開いた。
「なぁ、のぞみ」
「ねぇ、冬くん」
二人の声が綺麗に重なった。
受付に寄ってから、目的の部屋へと向かう。いつもの道をいつものように、いつものペースで。
入院棟六階七号室。
もう何度も来た場所。
好きな人の病室。
好きだけど憎くてたまらなくて、それでも楽しい空間。
大切な彼女といられる唯一の場所。
病室の前で一度大きく息を吸い、柄にもなく慎重にノックなんてしてからドアをゆっくりと開けた。中の人がこっちを向いたのと同時に、そのこげ茶の髪がサラリと揺れる。
「冬くん!」
彼女は俺を認識してすぐにそう声を上げた。幸せそうに微笑む顔が可愛くて、なんだかちょっとこそばゆい。俺一人が、その笑顔を独占していると思うと特に。
「約束通りバイトから直行ー」
冗談みたいに言ってみせて、照れ隠しをする。まあ、のぞみにはバレバレなんだろうけど。
とりあえず俺は、定位置であるパイプ椅子に座った。それから、ふぅと重く息を吐く。
さて今から告白だ。
この高揚っぷりのままではろくに会話も出来ないし、なにより心臓がもたない。俺の心身への負担を考えれば早めに伝える方がよいだろう。
何事も当たって砕けろだ。もちろん最低限砕けたくはないが。
俺は心の中でそう言い聞かせ、覚悟を決めて口を開いた。
「なぁ、のぞみ」
「ねぇ、冬くん」
二人の声が綺麗に重なった。